10月31日
浮かれてんじゃねえ。とキッドは一蹴りするだろうこのイベントは毎年スルーされるのが恒例であった。
だがしかし、今年は船にカオがいる!
船員たちはこれを理由として密かに実行する計画を進めていた。
普段なら鬼の保護者のようにキラーが“何人たりとも”不埒な野郎は近寄らせまいとしているが、ハロウィンなら仕方がないと言えるだろう。
お菓子を持っていなければイタズラできるのだ。これは行事だからしかたないよね!と言わんばかりに。
しかしキラーとて油断しているわけではなかった。カオに目一杯お菓子を持たせていたし、服は今の服以外は着るんじゃないぞと念を押していた。
「カオにイタズラなんかさせてたまるか!」
おれもまだなのに!
「お父さんは黙って見ていてくださいよ!」
ジャマだなあこの人!
そんな攻防がカオを他所に勃発していた。
「どうしよう…」
一方で、あまりに「お菓子かイタズラか!」と同じことを何度も聞かれてカオは疲れてしまい、コソコソと隠れていた。
「お嬢、どうした。そんなポッケぱんぱんにして」
一番に見つけたのはヒートであった。
ヒートは別に、ハロウィンに興味もなく、波も落ち着いている今日はぶらぶらと暇をしていたところだった。
「これ、キラーさんが持てるだけ持っておけとお菓子を」
カオがぱんぱんのポケットを摩ると、ヒートは察する。ああ、あの保護者のしわざかと。
「旦那もよくやるよな」
「ヒートさんにあげます、重たくて…お菓子」
「右ポケット分もらおうか」
ヒートは両手いっぱいのお菓子を受け取った。こんなにどうやって詰めたんだとゾッとする。
「ここはすぐバレる。キッドの頭ンとこ行け。あそこは絶対、手が出せんさ」
ヒートの助言の通り、カオはキッドの船室へと向かった。キャプテン、キャプテン、と呼びかければ、その扉はすぐに開けてもらえた。
「なんだ用か」
「かくまって欲しいんです。疲れてしまったので」
キッドは膨らんだポケットから覗くお菓子を見て察する。ああ、キラーがどうりでお菓子を作りまくっていたわけだと。
「キャプテンにもあげます。お菓子持ってると、欲しがられてしまう」
「あいつら菓子が欲しいわけじゃ無いと思うがな。ま、貰っとくぜ」
キッドは菓子を受け取り、少し食べると、甲板の方へと向かう。いい加減にしろ!と怒っている声が聞こえるので、叱ってくれているのだろう。その声が遠くなると、キラーが息を切らしながらカオを見つけた。
「カオ!どこにいったかと思っていたら、キッドのところだったのか!」
「キラーさん!よかった、もう今日のこの行事は終わりそうですね」
「まったく…おれで最後にしてくれ、トリックオアトリート」
お菓子ないです、とカオが答えると、キラーは急に慌て始めて、ずっと何か言い訳をしていた。
ワイヤーは、カオが菓子を持っていないところをキラーが狙って声をかけていたとそれはそれは嬉しく噂を広めていたという。