一花
洗濯物を干していれば、背後から腕を回される。首元に顔をやおら近づけられ、マスクが無ければキスされていた程の距離。
「もうキラーさん、誰かに見られてしまいますよ」
「おれは困らない」
照れて洗濯の手が止まるカオに、キラーは力が入りびったりとくっついた。
キラーはスキンシップが多くなった気がする。カオは戸惑うことが多いが、どちらも互いに好きだとこういうことをするのかもしれないと少しずつ受け入れていった。
反対にキラーはカオが前よりも照れることが増えてしまい、最近では前のように好きだと言わないし、少しだけ寂しく思っていた。一回一回、好きという言葉が大切になってきているのだから、良いことなのかもしれないが。
「キラーさん、私の髪伸びてきたと思いませんか。どうでしょう」
「ああ少し。きっと長くてもカオは似合うだろう」
髪を見るふりをして、キラーはカオのうなじを見ていた。白かった肌は少しずつ毎日の船の上で焼けてきてはいるが、まだまだ白い。髪が伸びればこのうなじも隠れるだろうと思うと、もったいなく思えた。だが他の奴らに見せてやることもないとも思った。
「ふふ、くすぐったいです」
見ているだけのつもりが、無意識にカオの後髪を触っていた。
「すまない、女の髪はどうしてか触りたくなる」
「まあ!何人の女性の髪を触ってきたのですか」
「それは…」
言葉を探すキラーをクスクス笑う。
「髪が伸びたら結ってください。キラーさんの好きな髪にして欲しい」
「せっかく今は好きなようにできるんだぞ。支配されてどうする」
「キラーさんになら好きに支配されたいですよ」
髪が伸びる。後髪が肩につく頃、どこで手に入れたのかわからない飾りがカオの髪につけられた。