怪我したはなし
「なに縫ってるんだ」
ヒョッコリ。何か裁縫をしているカオをキラーは覗き込む。
「これはキャプテンの服ですよ。すこしほつれがあったので、直してるんです。貧乏くさいって怒られますから、ナイショですよ」
ふうん、とキラーは薄い反応に見えるが、内心では良いなととても羨ましく思っていた。縫い終わると、カオはキッドのズボンにアイロンをかけ始めた。このアイロンはキッドが作ったこて型で、細かなところもシワを伸ばすことができる。
「カオは良い奥さんになるな」
「え!そんなことないです、でも、えへへ、そうでしょうか、嬉しい。でもでもでも、キラーさんも良…」
余所見をしながらアワアワとアイロンをしてしまったカオは自分の手にアイロンをしてしまった。すっかり大火傷。しかもアイロンを落として、骨までヒビ入り。
「私、置いてもらえなくなるんでしょうか…」
「バーカ片手使えりゃ充分だ。それとも何か、片腕のおれに何かできねえことがあると思ってたのか?同じ条件だろうが」
「キャプテン…」
手が使えなくなりカオは第一に、雑用ができなくなった自分は船を降ろされるのではないかと心配をした。
そんな心配も、キッドの一声により解消されたのだが。これからの生活は不便な者である。
「カオちゃん手伝ってあげようか」
「なんでも言いな!ほらほら!」
船員はこれは好機とばかりにカオに言い寄っていた。下心でしかない悪い虫船員に、キラーは覇王色に目覚めたのかと言わんばかりの圧をかけた。
その日、カオはウンウンと唸りながら甲板を歩いた。困ったことに気がついたのだが、解決法がないとカオは思いながら、夜風に吹かれている。
そんな様子のカオをキラーはほっておかなかった。
「カオ、できないことはおれに言え。手伝えることはおれがする」
「だ、だめです!」
強く断られて、キラーは少し意外だったのかショックを受けた。
「私は、その、お風呂や着替えをどうしようかと…」
「な…」
そんなことだともしらず、よし手伝ってやるとも言えず、キラーは黙ってしまう。
かくしてカオの片手生活は始まったのだ。