負け勝ち
ザックリ!
ミステリオンの腹にナイフが刺さった。だくだくと血が流れて、これはもう助かりそうにない。
「ミステリオン!」
「クソ痛ぇ…」
「いや!死なないで、そんな!」
カオは死にかけのミステリオンを抱きしめた。死ぬ間際ながらミステリオンは、初めて抱きしめられてウットリしてしまう。
そうして、また転生する。ケニーはベッドの上で、抱きしめられた感覚を思い出していた。でもカオは死ぬ間際の記憶は残っていないだろう。そうなると、これは。
「ハグ放題だ!」
ヒーローとしてこの考えはどうかと思うが、カオと密着できるのならばきっと神様も許してくれるだろう。
バン!
次の日も自分の体を撃ち抜いた。痛い!
だがカオはまた抱きしめてくれた。やったー!
自分の意識が無くなる前なら、もしかすると何をしても忘れられるのではないか?3回目の自殺、クソ痛い中力を振り絞ってカオにキスをした。カオは照れて、笑った。ああクソかわいい。やはり転生後、カオは何も覚えていなかった。
自分の能力にこんな使い方があるなんて思わなかった。これなら一瞬の間にいやらしいことがいくらでもできる。
今日は舌でも挿れてみようかななんて考えて、朝方カオとこっそり会う時間になった。
「ミステリオンは死ねないのが能力だって本当?」
「ああ」
ドキッとする質問だったが、その後のカオの笑顔の方がもっとドキドキした。
「よかった。私きっとミステリオンが死んじゃったら、いっぱい泣いちゃうから」
罪悪感を覚えた。ミステリオンが「確かにいっぱい泣いていたよ」とボソリ呟くと、カオは不思議そうな顔をした。
今日は死なない。