ある意味間接キス

「カオ!なんだよそれ」

スタンが指差す。
思わず背後に隠してしまったそれは、ミステリオンの人形だった。ヒーローのグッズはどこからともなく発売される。みんな流行とお金には敏感なのだ。

「なんだよ!そいつはパクリ野郎なのに!」

とカートマンはブーブー文句を言っている。
人形を絶対に取られまいと手に力が入った。

「ミステリオンはみんなのために戦ってるの。あんまり会えない…だからお人形と、一緒に…」

「ハハハ!人形にンマンマチュッチュするのか?」

「×××××?!」

「そんなことしてないよ!」

ケニーにまで人形にやらしいことをしているのかと聞いてこられて、カオは恥ずかしくなった。スタン、カイル、カートマン、ケニーと4人が人形についてやいのやいの言ってくるので、カオはそそくさと家に帰った。


家の中でだけ一緒にいることにしようと考えながら、人形を抱いている時だった。コンコンと窓が叩かれる。そこに居たのは人形と同じ姿、つまり本物のミステリオンだった。

「ミステリオン!」

名前を呼びながら窓を開ける。
嬉しくてワッと笑ったカオを見てミステリオンは顔に熱が集まった。

窓から部屋に入って来たミステリオンに、何の用事か尋ねる。すると人形を指差された。スタンの時のように笑われる、本人に見られて恥ずかしいと、またカオは背後に隠した。

「なぜ隠す」

「だっておかしいでしょ。みんなは笑ったわ」

「おかしくない」

ミステリオンはカオの手をとって、人形を前に抱えさせた。

「カオに大切にされるなら、人形がうらやましい」

「本当?それならこれからも大切にする!」

しっかりと人形を抱き直したカオ。人形が本人なら、と思うと少しだけ複雑な気持ち。

「で、でも、ほんもののミステリオンがいちばん好き!だからね!」

「あ、ありがとう」

ミステリオンは特に用事もなかったようで、すぐに帰って行った。カオはどうして来たんだろうと不思議に思いながら、人形のミステリオンを頬ずり抱きしめた。


次の日の朝いちばん、ケニーに会った。

「おはようケニーくん」

「×××××××××××?」

ケニーは人形のことを聞いて来た。もう持ってこないかと思っていたけれど、大丈夫なのかと。

「うん、昨日ミステリオンが来てそれで、これからも持ってようと思って」

「××××!」

「チュー」

「!」

「これからはこっそりキスもするの。大切にするって約束したから、えへへ」

なんでケニーが照れてるの、ケニーってそんなにウブな子だったのかなと思いながら、カオは人形の頭をなでた。