はじまり


「この子のお世話を頼めるかな」

そうシエテが突き出したのは自分と同じフードを被った女だった。

「気がついた?!これシスくんとおそろい!夜なべしちゃったー」

ヘラヘラぺらぺらと話すシエテ。どうして俺がどこの娘かもわからない奴の世話をしなければならないのか、その理由は話そうとしない。

「フード、取らないでね」
「何故だ」
「君の仮面と同じようなものさ、取らないでね」

それだけ伝えるとシエテは女の背中をバシバシと叩く。抵抗も無く女の方は俯いて黙ったままだった。




女のフードの下にあった耳は左右で長さが違い、色も違っていた。長い方の耳には切れた痕があった。どういうことなのかとシエテに問い詰めれば、人体実験の犠牲者だと言う。エルーン好きの金持ちが無理に種族を掛け合わせたり、縫い付けたり、競売にかけたりする。

「見ないでください」

そう静かにフードを被る女に、シエテが自分に世話を頼んだ理由を見つけた。

「隠さなくていいよって言ってるんだけどね。無理強いはできないし…団長さんからフード作って!って突然言われた時は何事かと思っだけどさ〜」

せめて隠している時だけでも元気出せるように教えてくれないかな。シエテは苦笑いをして、首を傾げた。