悩ます
最近あまり艇に居なかった。
十天十天と騒ぐシエテに連れまわされて(他の奴はどうした)、俺はあちこちで事件に巻き込まれていたのだ。
それが駄目だったんだ。
帰って来た艇に、出迎えは無かった。コソコソと帰って来たわけではないのだから、アイツも気が付いているはずだ。キョロキョロと辺りを見渡しながらカオを探す。部屋だろうか、そう思い足を運ぶとゆっくり扉を開けるとカオは夢中になって本を読んでいた。
何を読んでいる? バレンタイン、特集?
ハッ! 前は知らないと言っていたカオも、バレンタインを知ったということか。フ、フン、誰に渡す気なのだろうな。
「あ! おかえりシス」
「お、ああ、今戻った」
隠さなくて良いのか? その本は。慌てて隠しながら秘密にするのではないのか、いいのか、本当に。
「その本は……」
「うん、バレンタイン、あげることにしたの! これ、エッセルさんがもう見たからって、くれて。たくさんあるの、ラッピングも」
だ、誰にあげるんだ。待て、なぜ俺に嬉しそうに話す。秘密にしない、なら、俺ではないのか? お、俺ではないのか!?
「シスも見る? いっぱいあるの、お菓子の種類も」
「お……おお」
バレンタインの本を並んで見ることになってしまった。おかしい、おかしいぞ、カオは誰に渡すつもりなんだ。いちばん怪しいのはユーステス……いや、シエテの線もある、カトル……? だ、団長か!?
わからーん!
ガシガシと頭を掻いてシスは苦悩する。
「わたし、お菓子作り初めて……ふへへ、頑張る」
パア! とまばゆい笑顔を向けるカオだが、誰を思ってその笑顔なんだとシスはドキドキしながらもますます頭を抱えてしまった。