フュンフ

「カオ、こんにちは!」
「こん、にちは」

突然の来訪にカオは目を丸くする。この女の子は十天衆の子だろう、と思う。なぜなら十天衆のマントを着ているから。

「あちしフュンフ! シエテから話しは聞いたよ!」
「そう、なの。なにか用、事?」
「シスだけともだちになってるのずるーい! 一緒にあちしとも遊ぼう!」

はやくはやくとフュンフはカオを引っ張った。ここには広い花畑があるんだよとフュンフは笑って、カオを船から降ろすと真っ直ぐに目的地へと向かうのだった。



「カオがフュンフと出て行っただと?」

シスはカオを探してシエテの元へと訪ねると、へらへらとシエテはこう答えたのだった。

「フュンフ、新しくともだちができるならどうして早く教えてくれなかったんだーってね。会わせろってしつこくてさー」
「そんなことより何処へ行ったんだカオは」
「さあねえ。ラーメン屋か商店街か、はたまた森へピクニックとか?」

気にしなくてもそのうち帰ってくるよとシエテは笑うばかり。シスは指を遊ばせて、二人の行方が気になって仕方がない様子だ。

「あ! もちろんシスくんはともだちじゃなくて恋人だよって言ったんだよ! でも好きに違いがあるのかって説明するの難しくてさー」
「な……ッ、そんなことをフュンフに話したのか!」

赤くなったシスを見て、この反応が見たかったんだよねとシエテはにやにやとするのだった。



「はなかんむりはねー、こうやって……」

フュンフは器用に花を組み合わせて冠を作っていく。真似をしてカオも、少しずつだが冠を作っていった。

「こういうこと、はじめてなの」
「えー! ちっさいあちしでも知ってるのに!」
「遊びとか、したことなくて」
「そっか。シスはあそんでくれないんだね!」

どう説明したものだろうとカオは頭を悩ませた。こんな小さな子に、自分は実験された愛玩エルーンですよなんて言えないし、シスが遊んでくれないというのも当たりのような外れのような。シスは一緒に居てくれるが、遊んでいると言われるとどうだろう。

「シスといて楽しい?」
「うん」
「シスのこと好き?」
「うん」
「どれくらい好き?」
「いっぱい好き」

こーんくらい? そう言ってフュンフは両手を広げた。カオは自分も目一杯両手を広げて、これくらいと答えた。じゃああちしがじっちゃやナル姉ちゃんを好きなのと同じくらいだとフュンフは喜んだ。

「どうして好きなの?」
「シスが隠してくれたから」
「なにを?」
「見られたくないもの。でも、そのうちにね、見られたくないものも、シスなら見せても大丈夫と思ったの」

フュンフはずるいと膨れっつらになった。シスが見てもいいなら自分も同じがいいと言うのだ。カオはごめんねと苦笑い。

「そういえばシエテが、ともだちじゃなくてコイビトって言ってた! あちしもそれになれば同じになれる?」
「うん。約束する」

ゆびきりげんまん。フュンフはにっこりと笑って花冠を仕上げた。


「シス! あちしもカオのコイビトになって、シスと同じになるかんね!」
「ハ!? 何を言って……第一にカオと恋人だとはシエテが勝手に!」
「カオはシスをこーれくらいすきだって言ってたよ」

フュンフが両手を広げると、シスはクッ、クッ、と言葉にならずに湯気が出そうなくらいに恥ずかしがっていた。