シラカバ
この宇宙は広いし、どの星にもどんな街にも異種族が集まり暮らし、生活を送ることは珍しくない。自分だってマンダロアの産まれではないが孤児としてマンダロリアンに迎えられ、そして今は孤児のグローグーを弟子として育てている。
「お前は生命体なのか、それともナノドロイドの一種か」
問いかけ銃を向けるが、目の前に突如現れたドロドロとしたスライム状のモノはビタビタと首を振るように振る舞ったり、頷くようにカタチを変えた。
「どちらでもないのか、それとも揶揄っているだけか」
グローグーに目を向けるが、怖がってはいないようだ。敵意を向けてもいない。かといって飯を見るような目でも無い。
「シーシー」
スライムモドキは鳴き声のような声を出す。知能があるのかと思ったが、言語がわからないのだろうか。
「シー」
「わからない」
おれが首を振るとスライムモドキはぶくぶくと動きながら大きくなる。バチャバチャと音を立てて、瞬きの間にそれは人の形になっていた。
「コレデワカル」
「妙なやつだ、それがお前の元の形なのか」
「かたち、ハない。ワカル、ソレがアナタの望ミ。ダカラこうナった」
スライムモドキは自身を語りだす。
自分たちは空気や水のような形を持たない種なのだそうだ。どこから来てどこから増えるのか、ある星では昔話の空想と言われたり、フォースは彼らの力だと話すとんでもない学者も居たことがあるらしい。魔法のようにそこに居合わせた者が望んだモノになってしまう遺伝子でできているからだ。
望んだモノになってしまう彼らの生き方は、悲惨である。時に迷子になった者が不時着したい星を望めば、不時着するだけの何も無い星に変化してしまって爆破された者、水が欲しいと望まれ飲み干された者、帆が揺れるように望まれて風になった者。
故に目で確かめることが困難なのだ。人に気が付かれることがないまま一生を終えることがほとんどなのだと言う。
「だがお前は“カタチ“をしていた」
「シーシー…あ、あ、そこの坊やが望んだカタチだった。しかし幼子の願いというのは曖昧で、変わりやすい。願いが消える前にわたしのターゲットはあなたに変わった」
「おれは願いなんてしていない」
「あなたは望んでいた。わたしはあなたの望んでいる通りのママになった」
ディンは銃を降ろし首を傾げる。
「あなたの願いがわたしを作った」
とんだおとぎ話だと思う。これがすべてレイザークレストの中で起きたことなのだから、余計に信じ難い。