ちち


「願い通りのママだ」

そう語る生命体は確かに人の女性の姿をしていた。頭の中を覗かれたのだからそうなのかもしれないが、確かにその、好みの女性の姿をしていた。だが、さっきまでスライムのようにうごめいていたモノだと思うと心にセーブが掛かるものである。

「あなたはグローグーの親になった。だが、あなたは生物状雄であり、雌にはなれない。だから心で母親を望んでいた。叶わないはずの願いが今叶ったのだ。それを目の前にしてどうしてため息をついている」
「お前は突然現れた生き物に母だと言われて納得するのか?次不時着したら降ろす」
「わたしたちに母はいない。わからない」

さらにディンはため息が出た。とんだ厄介な奴が紛れ込んでしまったものだ。

「わたしはどうすれば良いのだ」
「また別の誰かの願いになれば良い。希望を抱いている奴は多いぞ、この宇宙にはな」
「その願いが、腹いっぱいになりたいだったら?わたしは肉になって終わりだ」

知ったことかと口にすると、しゃがみ込んで泣く生命体。まるで自分が酷いことを言っているように思えた。

「この姿はお前が望んだんだぞ。どうにかしろ」
「どうすればいい」
「あの子のママにならせろ」
「それはできない」