モケモケ
「俺ガキくせえのはちょっと」
……と話していたところを通りがかってしまい、自分に言われたわけではないがつい気になってしまい、そんなことで、なんやかんやで。
「今日のわたしは一味違う……!」
買ってしまった高めの下着。別に見せるわけでもないが、ほら雰囲気が変わると言われて。普段はお金もないし、動きやすいからと綿100%のやっすいパンツ履いているが、これなら少しは違うだろう。
しかしながら他の人には知られていないスカートの中身がついつい気になってしまってモジモジと不審な動きをしてしまう。今日は彼と服を買って、少し靴を見て、普通に遊ぶだけなのだから普通にしなければならないのに!
「お前、漏れそうなんか?」
約束の集合場所で春蘭の開幕一言目はそれだった。トイレならあっちだぞと指差す彼に、冷静にトイレじゃないよと返す。やはりわたしは大人だ。
「俺の姉ちゃんが行くとこ、こっからすぐ」
春蘭くんのお姉さんは大人っぽいから、きっと同じような雰囲気の服なら大人っぽくなるはず。そんな淡い期待を胸に店に飛び込んだのだ。
試着のために3枚服を選んで、いざ行かん試着室へ!
「俺居る意味あるかー?」
「あ、あるから!ちょっと待ってて」
「どうせならさっきの背中丸出しなやつにしたら良かったのに」
「あんなのどう着たら良いかわかんないって!ちょっと待ってて!」
カーテン越しに春蘭くんが話しかけてくる。焦らせてくれるな、ちょっと待ってろと急ぎハニャハニャしていると小さくシャッとカーテンの開く音が聞こえた。
「ち、え、わ!」
カーテンの隙間から春蘭が顔を覗かせてきたのだ。
「見立ててくれ言うたやん」
「覗いてなんて言ってない!ちょ、恥ず……」
「うわ下着えっろ」
「見るなー!!」
バチーン!と大きな音を立てながら、カオが春蘭の頬に1発食らわせて追い出すと、もう恥ずかしさで試着どころでは無く、選んだ全ての服をそそくさとレジへ持って行った。全て買うなんて思ってはいなかったから、クレジットを使って未来の自分に支払いを託した。
「いいじゃん別に。初めて見たわけでもねえのに」
「外から見えちゃうでしょ!」
店のドアを閉めながらプリプリと怒るカオを気にもせず、春蘭はカオの首元を引っ張り中を覗き込んだ。
「これ誰用?」
「別に、かわいいから着てるだけ」
「普段色気のねえパンツのくせに」
クケケと面白がって笑う春蘭。恥ずかしさで泣きそうになってきたが、ここでおせなきゃいつおすんだとカオは頑張って口を開いた。
「い、今は……色っぽい?」
ちゃんと彼の服を控えめに引っ張り、研究に研究を重ねた上目遣い。
「俺泣き顔好きなんだわ」
と返事されて、口付けされた。DVの素質あるよとため息を付けば、んなことないと笑われた。
下着とか子どもっぽいとか関係無いんだこの人はと思うカオには悟られていないが、春蘭は充分カオの好きゲージが上がっていたと言う。