01:フルスロットル

「俺の方はいつでも嫁いできてもらう準備はできてるぜ!」

どどん!
ゴールドマスクの強気な発言。

「嫁がない!」

それに対してカオも強気だった。
マスクは膝から崩れ落ちる。これはいつものことなのだが、やはり堪えるらしい。

「またマスク振られてんぞ兄貴」

「ああ…マスクは若ぇからなあ」

ゴールドフットとゴールドアームは遠巻きに眺め、いつもの様子を楽しんでいた。

「なんでだよ、毎日、毎日…」

「毎日毎日飽きないのはすごいと思う」

「本当か!惚れ直したか?」

首を横に振るカオに、またマスクは崩れ落ちる。そもそも惚れていないと追い討ちをかける。

マスクはカオに片想いしている。ベタ惚れだ。
毎日毎日、毎日、毎日毎日毎日マスクは「結婚してくれ!」だとか、「俺の今日のホームランをカオにやる!」だとか、マスクなりのアプローチをかけている。

一方でカオはマスクに特別な気持ちも無く、ゴールド三兄弟の中ではアームのファンであるし、恋愛沙汰なら人間相手が良いと思っていた。


「マスクくんにはほら、きっと良いお嫁リーガーが!」

「そんなの嫌だ!カオが良い!」

マスクはガッシリとカオを抱きかかえる。おお!と兄2人は感嘆の声を出す。

「カオ…カオ、あ〜やわらけえ」

しばらく人間の感触を確かめるマスクだったが、フットが一言かける。

「おーいマスク、早くしろ。そろそろ時間なんだからよ」

「もうそんな時間か?カオまた明日も来るからな!」

カオを地面に降ろすと、手をブンブン振り愛を振り撒く。

「うん、またね」

「兄貴!カオが俺にまた会いたいって言ってる!俺今日試合やめる!ここに残る!」

「馬鹿野郎!」