05:ターンライト

すっかり寒くなった。
暗くなるのも早い。

ゴールドマスクはオイル冷える中、カオを待っていた。

「こうやって待ってると恋人みてえだ」

そんなことを言っていると、意中の人であるカオがやって来た。

「マスクくん!どうしたのこんなところで」

「最近暗くなるの早ぇだろ。だから送って行こうと思ってよ!」

「寒かったでしょ」

ほらこんなに冷たくなってるとカオはマスクの腕を触った。不意に触られたマスクは驚く。

「マスクくんはどうしてそんなに」

「おう」

「優しいのかね」

一瞬ためらったマスク、そして笑った。

「カオが好きだからだよ」

もしかしたらこれは、普段見ない顔なのかもしれない。いつもはかわいいと思っていたマスクの顔がかっこよく見えた。
これがいつもファンが見ている、かっこいいマスクかもしれない。

「黙るなよ、照れんだろ」

「マスクくんをかっこいいとか思ってた」

「な、なんでだ」

「マスクくんが好きだからだよ」

それは言おうとも思ってなかったこと。
好きだとか嫌いだとかわからないもの。しかし口に出たということはどこかで好き嫌いを考えていたのかもしれない。

しばらく歩いて、家に着くまでの間、それからマスクは話さなかった。
ただ一言別れるときに

「またな」

と、いつものように言っただけ。

「マスクくん、今日は静かだったな」

そう思ってカオが家に入っているころ、マスクは沸騰していた。


「好きってどういう意味の好きだ!うわー!」