06:無形の愛

「マスクくん」

「マスクくーん」

「マ・ス・ク・くん」

アイアンリーガーも夢を見るか。
ゴールドマスクは即答できた、答えは夢を見る。

今日も見ているところ。

マスクはカオの夢を見た。カオがべったべたに甘えてくれる夢で、もうそれはそれは…

「マスク起きろ」

「んぁ」

頬を叩かれて目覚めてしまったマスクは、生まれて1番悔しい顔をした。

「なんだ急に反抗期か?」

そう言いながらゴールドアームは笑っていた。

「いや、ちょっと良い夢見て…」

「ハハハ!情け無いニヤケ顔で寝てたもんな」

そしてさらに大きな声でアームは笑った。マスクは朝から真っ赤な顔で、アームをぼかぼかと叩いた。しかしそれも「カオが来てるぞ」という一言でそのぼかぼかはピタリと止まる。

「い、今はダメだ!会えねえ!」

「なぁんでだ。いつも、俺のカオ〜!って真っしぐらじゃねえか」

いざ自分が言っていること、やっていることを言われるとこんなにも恥ずかしいものなのか。マスクは顔が熱くなる。


「マスクくん」

「わ!」

情けない声を出してしまい、マスクは余計に恥ずかしくなったようで、俯いた。

「いつも、俺のカオー!!って来てくれるのに」

「カオまでそれを言う!」

勢いよく顔をあげたマスクをカオは笑う。今日は笑われてばかりだが、カオの笑った顔は大好きだ。マスクは心の中でガッツポーズする。
そんな自我を保つことができたのはここまでだ。

「私のマスク〜」

と、カオがふざけてマスクの真似をしたのが綺麗に右ストレート決まったのだ。

キュ、と締め付けられるような心。

自分のもの扱い!何気に呼び捨てにされた!マスクは一生懸命に音声も映像も保存した。

そんな嬉しいひとときもつかの間、カオは側から居なくなっていた。


「私のアームさん〜」

「よーしよしよし!俺の兄弟増えたっていいんだぞ!」

「カオ!兄貴と何で抱き合ってんだよ!俺だけのカオだからな!」

兄に盗られる!と焦ったマスクはカオを引っ張るが、アームの耳打ちでマスクは崩れた。


「でも俺の妹になるってことは、つまりはそういうことだぜ?」

「!」


兄弟に受け入れ体制は万全の状態である。