夕飯後、コーヒーでも飲もうとキッチンに立っていたら妙に視線を感じたので、手を止めて顔を上げた。
するとリビングのソファに座る真衣が振り返ってこちらを見ていたらしく、ぱち、と視線が交わった。
…………かと思ったら、すぐに逸らされた。
「真衣?」
その反応が気になったので、キッチンから出て彼女に近付く。
隣に座って顔を覗き込むようにすれば、真衣はまた、その視線を逸らした。
「……真衣?どうしたの?」
心当たりが全くないが、何かしてしまったのだろうか。
近くにいるのに、視線が交わらないのはとても寂しい。
「…ごめん。だって、涼太が……、その…かっこよくて」
「………え?」
一瞬、彼女の言った言葉が理解できなくて、思わず気の抜けた声が出てしまった。
けれど、やがてその言葉の意味を理解し始めて、じわりと指先から温かくなる感覚がした。
「雑誌…見たのね。表紙のやつ」
真衣が言っているのは、もうすぐ発売予定の、俺が表紙の雑誌のことだろう。
できあがったのを先にいただけたので、真衣に見てほしくて渡した記憶がある。
「……ちょっと、かっこよすぎて…、その、……ごめん」
なんて、恥ずかしそうに俯いて言うから。
なんだかとてもたまらなくなって、その顎を掬い上げてをキスした。
「…ふふ、嬉しいな。そんなに照れちゃうくらい、かっこよかった?」
「…………うん」
きゅ、と小さな指が俺の服を掴む。
そして小さく、涼太、なんて呟くから。
「っ、んん!?…っ、ぁ、ふぅ…っ、ん、!」
自分らしくもなく、噛みつくようなをしてしまった。
ああ、本当に、どうしようもなく愛おしい。
そのままソファに押し倒してしまおうかとも考えたが、彼女の身体に負担をかけるわけにはいかないか、と思い直す。
一度唇を離して彼女の背中と膝裏に手を回すと、その身体は軽々と抱き上がった。
「続きはベッドで…ね?」
そう言えばまた、真衣が照れたように視線を逸らすから。
今夜は止まれそうにないかも、なんて思いながら、俺は寝室へと歩みを進めたのだった。