「ニアちゃん、描かせてくれへん?」
「……何を?」
「からだ」
「……」
世間話の最中に何かと思えば、はるかちゃんは私をモデルに絵を描きたいらしい。いきなりどうしたんだろう。
からだ?今まで私のからだ(?)を描かせて欲しいだなんて、はるかちゃんに限らず誰にも頼まれたことがないからあまり言い切れる自信がないけれど……この場合、ただ普通に服を来た私を描かせて欲しいという解釈でいいんだよね?
……いいんだよね?
「どうしていきなり、私なんて」
「別にいきなりやないよ。僕はずっと前から描きたかったんやで、ニアちゃんのからだ」
「ずっと前から?」
「中1んときから」
「出会ってない!」
「そやっけ?まあ細かいとこは気にせんでええやん。とにかく描かせてや、ニアちゃんのからだ」
「からだって言うのやめて!」
街中でそんな破廉恥まがいなことを喋り続けられるのは、さすがに気になって仕方がなかった。ただでさえはるかちゃんの高身長と可愛いお下げは目立つのに、さらにそんなことで注目されたら私はもう隣を歩けない。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、彼は相変わらず笑顔を崩さず私のことを見下ろしてくる。
「せやね、今のは語弊のある言い方だったわ。正確に言うと、僕はニアちゃんの服が描きたいねん」
「……語弊あり過ぎない?服が描きたいならそう言えばいいのに」
「服だけを描きたいわけじゃあらへんし、どうしてもヤなら服着とらんでも僕どっちでもええけど」
「やっぱ悠ちゃん、さっきの言い方わざと含み持たせてんじゃん。変態」
「んふふ、ニアちゃん」
「なに」
「もっと言って」
「変態」
私が素で言うと、悠ちゃんはほんの少しだけ頬を赤らめて(太陽のせいでそう見えるだけかもしれない)、嬉しそうに「ありがと」とお礼を言った。やっぱりこの男の子は誰がなんと言おうと変態である。
「じゃ、僕の家行こか」
「……え?」
「この後暇やろ?」
「き、今日描くの?私まだOKしてな」
「嫌なん?」
はるかちゃんは突然歩みを止めて、私の顔を覗き込んだ。反射神経が優れていない私は突然足を止めることなんてできなかったので、咄嗟に上半身を仰け反らせなければ、悠ちゃんの顔面に思い切り頭突きをしていたところだった。
「嫌じゃない、ですけど」
文字通り、目の前から注がれてくる悠ちゃんの熱烈な視線に縮こまりながら、なんとかそう答える。すると、悠ちゃんはいたずらに目を細めて私の頬をつついた。
「決まりやね」
はるかちゃんってただ笑っただけなのにえろく見えるのなんなん。不意打ちに固まる私を置いて、はるかちゃんはすたこらさっさと歩き出した。私と違って足が長いから、たった数歩を歩いただけでどんどん距離が離れていく。
はるかちゃんはやっぱり読めない男の子だなあ、もう2年は一緒にいるのに私は先を行かれてばかりだ。
……と、他人事のように遠ざかっていく背中を見ていたら、悠ちゃんは踵を返してトコトコと私の元まで戻ってきた。
「ニアちゃんって、思ってたよりずっとウブやんな。僕ニアちゃんのそうゆうところが可愛いと思ってるよ」
「……は、はるかちゃんがウブじゃないだけだもん!そういうところヤダ!はるかちゃんのくせに!」
「僕のくせにってなんやねん。はよ行こうや」
「行かない!帰る!」
「せやから今から僕の家に……」
「ちーがーう!自分の家に帰るの!」
「ニアちゃん」
「なんですか!」
「怒ってるニアちゃんも可愛いなあ」
はるかちゃんは人差し指を私の口元にきゅっと押し付けた。一瞬怯んだ隙に、彼の手がするりと腰に回り込んできて、まるでエスコートするみたいに歩き出してしまう。も〜だから彼はこういうところがあるから余計憎たらしくなる。むやみに人の心臓を鷲掴みにしないこと!
どきどきしながらはるかちゃんを見上げると、やっぱりどこからどう見てもお顔が整っていて、たぶんこのせいで彼はちょっと飛び抜けた言動をしても許されてしまうのだ。許してしまうのだ。そんな目で見つめられたら頷くしかないじゃん。
しかし、はるかちゃんの爆弾発言はここからだった。
「絵描き終わったら、イイことしような」
「……。はぁ、もうやだ」
「すぐヨクなるで」
「殴」
はるかちゃんは殴られても尚嬉しそうだったので、本当に根っからの変態だと思いました。
「……何を?」
「からだ」
「……」
世間話の最中に何かと思えば、はるかちゃんは私をモデルに絵を描きたいらしい。いきなりどうしたんだろう。
からだ?今まで私のからだ(?)を描かせて欲しいだなんて、はるかちゃんに限らず誰にも頼まれたことがないからあまり言い切れる自信がないけれど……この場合、ただ普通に服を来た私を描かせて欲しいという解釈でいいんだよね?
……いいんだよね?
「どうしていきなり、私なんて」
「別にいきなりやないよ。僕はずっと前から描きたかったんやで、ニアちゃんのからだ」
「ずっと前から?」
「中1んときから」
「出会ってない!」
「そやっけ?まあ細かいとこは気にせんでええやん。とにかく描かせてや、ニアちゃんのからだ」
「からだって言うのやめて!」
街中でそんな破廉恥まがいなことを喋り続けられるのは、さすがに気になって仕方がなかった。ただでさえはるかちゃんの高身長と可愛いお下げは目立つのに、さらにそんなことで注目されたら私はもう隣を歩けない。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、彼は相変わらず笑顔を崩さず私のことを見下ろしてくる。
「せやね、今のは語弊のある言い方だったわ。正確に言うと、僕はニアちゃんの服が描きたいねん」
「……語弊あり過ぎない?服が描きたいならそう言えばいいのに」
「服だけを描きたいわけじゃあらへんし、どうしてもヤなら服着とらんでも僕どっちでもええけど」
「やっぱ悠ちゃん、さっきの言い方わざと含み持たせてんじゃん。変態」
「んふふ、ニアちゃん」
「なに」
「もっと言って」
「変態」
私が素で言うと、悠ちゃんはほんの少しだけ頬を赤らめて(太陽のせいでそう見えるだけかもしれない)、嬉しそうに「ありがと」とお礼を言った。やっぱりこの男の子は誰がなんと言おうと変態である。
「じゃ、僕の家行こか」
「……え?」
「この後暇やろ?」
「き、今日描くの?私まだOKしてな」
「嫌なん?」
はるかちゃんは突然歩みを止めて、私の顔を覗き込んだ。反射神経が優れていない私は突然足を止めることなんてできなかったので、咄嗟に上半身を仰け反らせなければ、悠ちゃんの顔面に思い切り頭突きをしていたところだった。
「嫌じゃない、ですけど」
文字通り、目の前から注がれてくる悠ちゃんの熱烈な視線に縮こまりながら、なんとかそう答える。すると、悠ちゃんはいたずらに目を細めて私の頬をつついた。
「決まりやね」
はるかちゃんってただ笑っただけなのにえろく見えるのなんなん。不意打ちに固まる私を置いて、はるかちゃんはすたこらさっさと歩き出した。私と違って足が長いから、たった数歩を歩いただけでどんどん距離が離れていく。
はるかちゃんはやっぱり読めない男の子だなあ、もう2年は一緒にいるのに私は先を行かれてばかりだ。
……と、他人事のように遠ざかっていく背中を見ていたら、悠ちゃんは踵を返してトコトコと私の元まで戻ってきた。
「ニアちゃんって、思ってたよりずっとウブやんな。僕ニアちゃんのそうゆうところが可愛いと思ってるよ」
「……は、はるかちゃんがウブじゃないだけだもん!そういうところヤダ!はるかちゃんのくせに!」
「僕のくせにってなんやねん。はよ行こうや」
「行かない!帰る!」
「せやから今から僕の家に……」
「ちーがーう!自分の家に帰るの!」
「ニアちゃん」
「なんですか!」
「怒ってるニアちゃんも可愛いなあ」
はるかちゃんは人差し指を私の口元にきゅっと押し付けた。一瞬怯んだ隙に、彼の手がするりと腰に回り込んできて、まるでエスコートするみたいに歩き出してしまう。も〜だから彼はこういうところがあるから余計憎たらしくなる。むやみに人の心臓を鷲掴みにしないこと!
どきどきしながらはるかちゃんを見上げると、やっぱりどこからどう見てもお顔が整っていて、たぶんこのせいで彼はちょっと飛び抜けた言動をしても許されてしまうのだ。許してしまうのだ。そんな目で見つめられたら頷くしかないじゃん。
しかし、はるかちゃんの爆弾発言はここからだった。
「絵描き終わったら、イイことしような」
「……。はぁ、もうやだ」
「すぐヨクなるで」
「殴」
はるかちゃんは殴られても尚嬉しそうだったので、本当に根っからの変態だと思いました。