| 本編中のどこかの話。ただいちゃいちゃ以下省略。若干えち 「どうしよう洋平、ラブレター貰っちゃった」 「はぁ!?」 今日は洋平もバイトが無いってことで、軽く花道のバスケを冷やかしてから私たちはおうちデートをしていた。そして私は一通の手紙を鞄から取り出してそう言ったのだ。100点満点のリアクションで洋平は手に持っていた空のペットボトルを握りつぶした。 「今朝下駄箱に入っててね、まさかとは思ったんだけど中身見たらガチの告白だった」 「え、いや…………ハ?」 「だよね、は?だよね……こんなにも毎日洋平といちゃいちゃ見せびらかしてるのにね」 「見せびらかしてはねぇけど、まあ結果的にそうなってっか…」 別に私たちは湘北高校で有名なカップル…ってわけでは無いけど、仮にも私を好きだと言うのであれば私に彼氏がいることなんて知っているハズだ。もし知らないのであればそれは本当に私を好きなのかと疑う。とにかく洋平の顔が一気に不機嫌となり、手紙を渡したら燃やされそうな勢いだ。 「どこのどいつだよ」 「言ったら殴り込みに行きそうだから言わない」 「そんな血の気多くねぇよ」 「でもメンチは切るでしょ」 「どんなヤツかは見に行くかもな」 「言えないなぁー」 こういうのは個人情報的なのもあるので、やっぱり誰なのかは言わないことにした。その人とはあまり喋ったことはないのだけど認識はしていて、そうかいつの間にか惚れられていたのか…と私は静かに思う。 「じゃあ、どーゆー内容だったんだよ」 「んーとね、普通に好きですーって書いてて、よかったら返事くださいって」 まあそこまで淡泊ではないけど、手紙の中身を第三者にさらけ出されるのは恥ずかしいことなので要点だけ言った。本当はなにがどう好きなのかだったり、きっかけだったり、ちゃんと洋平と付き合ってることも知ってると書かれていた。結構中身は健気なもので、付き合ってくださいっていうよりは、私と手紙のやり取りをしたいらしい。 「んー、便箋どこに仕舞ったっけ…」 「は?ってお前まさか、返事書くのかよ?」 「うーん、まあ誠実な内容だったし、ちゃんとお断りの返事くらいは書いた方がいいかなって…」 「いやいや、お前なぁ…」 立ち上がって電話台の引き出しを漁り出す私に、洋平は驚きの声をあげた。もしかしたら誰かの悪戯かもしれないという念は若干あるけど、断りの返事を書くくらいは別にしてもいいだろう。そう思ったのだけど、洋平の反応は予想以上に不機嫌だった。 「お断りの返事書くのもだめ?」 「っーーーー、あー……ちっせぇな、オレ…」 「嫉妬してくれて嬉しいけどね、私は」 「はぁ……彼女がイイ女だと彼氏は苦労するぜ」 「彼氏がイイ男な私も苦労人だね?」 ははっ、と洋平は乾いた笑みを見せた。引き出しを漁っていたら昔に使っていた可愛い便箋を見つけたのでもうこれでいいやと引っ張り出した。再び洋平の元へ行ってローテーブルにそれを置き、学校の鞄から筆記用具を取り出す。すると洋平の手が後ろから腰に回ってきた。 「そんな見られたら書けないよ」 「見てねぇー見てねぇー」 「いやばっちり見えてるよね、もうプライバシーなのでだめです寝ててくださいー」 「うおっ」 ぐっと仰け反って洋平をそのままクッションソファに寝かせ、私は再び体を起こしてテーブルに向かう。それでも片腕が私の腰に回ってきて、洋平は横になったまま私の腰を抱き寄せた。まあこの角度からなら手紙の内容までは見れないだろうから問題はない。それに洋平と密着していられるのは幸せだし。 「……………」 「……………」 「………ふ、ちょ…くすぐったいよ」 「んー?」 腰に回った洋平の右手がわさわさと腹を撫で回す。そこまで贅肉はないけどそれなりに肉は付いているのでお腹を触られるのはあまり好ましくない。でも洋平はぷにぷにしてて気持ちいいと言って、こうやって2人きりの時はよく私の体を何気なく触るのだ。そしてその手が脇腹に触れ、くすぐりに弱い私は身をよじった。けれども洋平は返事とも言えない間延びした声を出すだけで、そのまま手が服をまくり上げた。 「ちょっと…」 「手は塞いでねーだろ?」 背後にいる彼に少し視線を向ければ、洋平は少しだけにやっと口角を上げて手で頭を支えながら言った。まあガッツリ邪魔はされていないのでいいか…と思って再びペンを握って紙に文字を書いていく。最初の文は書けたからいいけど、ここからどう書こうか…。まあ送って来た人も断られるだろうというのは分かっているだろうし、そこまで気を遣わなくてもいいか。ありがとうございます……でもごめんなさい……私には―……。 「っ!?」 「ん?どーかしたか?」 「どーかって……ちょ、外れてる…」 プチッ――と、それはも一瞬で外れた。何がって………ブラホックが。さっき手が離れていったのでもう終わりかなと思ったら、その手は背中に回っていて一瞬でホックを外した。瞬時に振り向けば確実に分かっているだろうにとぼけた顔をされて、私は顔をむっとさせる。洋平にされることはいつでもなんでも嬉しいしOKだけど、今は大事なお手紙を書いている時なのだ。 それでも手は止まってくれず、再び服の中に侵入してきた洋平の手が上へと進んでいき、左の胸を下から持ち上げた。ホックが外れてしまったせいで胸元がごわごわとして変な感じがする。そして手はそのまま何度も肌を滑るようにやわやわと撫でた。でもこれくらいの愛撫は割と日常でもあるのでそこまで過剰に反応することはなく、私の手はゆっくりだが動かしてはいる。けれど洋平の手がある一点に触れた時、私の体はビクリと反応した。 「んっ……ちょ、ひょおっ…」 「はっ、ひょおって…ヘンな声」 「うー……洋平が変なとこ触るからぁ…」 「変なとこって、ここ?」 「ぁっ…!」 そういって再び胸の頂にある突起をくにっと指で触れられ、私は高い声を上げてしまう。しょうがないじゃないか、大好きな洋平の指で敏感なところを触られてしまえば、そういう声を出てしまうのは必然と言っても過言ではない。 「書かねぇの?」 「書くもん…」 「さっさと書いちまえよ」 変に意地になってしまい緩みかけてた手に力を込めて再びペンを滑らせる。そこまで長い内容のものではないから、あとちょっとで書き終わるくらいだ。そう思って次の文字を書こうとしたら、再び洋平の指が胸の突起に触れて弄繰り回してきた。その刺激にびくびくと体は揺れて、正直さっきから一文字も書けてない。 「なんでいじわるするのー!」 「んー?俺がいんのに他の男のこと考えてるお前がわりぃ」 結局耐えきれなくて姿勢を変えて後ろの彼に振り向けば、それはそれはもうムッとした顔の洋平が恥もなく嫉妬を露に見せてきた。そんな彼を目の当たりにした私は、 「もー!私が悪かったよー!だからいちゃいちゃしよ!!」 「うっしゃ、俺の勝ち」 「負けました!」 ドサッとそのまま洋平の上に倒れ込んだ。その衝動でテーブルの上のペンがコロコロと転がっていったけど、もうそんなのはどうだっていい。手紙も後で書けばいい。とにかく今はこの溢れんばかりの愛しさを彼にぶつけたい。 「でもちゃんとお返事は書くからね」 「わーったよ、そこは百歩譲って許可してやる」 普段の洋平は高1と思えないくらいの落ち着きがあって頭の切れる裏番長的な存在だ。バカでパワーだけしかない花道を上手く扱えるのは、あの軍団の中でも洋平がトップだろう。だからって頂点にいくのではなく、一歩引いてリーダーを立てるポジションについている。対して私といる時の洋平は、普段と変わらないように見えはするけど……結構甘えたなところがある。こんな些細なことでも嫉妬してくれるし、ちょっと余所見してたらかまってと言わんばかりにちょっかい出してくるし。これが恋人の特権ってヤツなのだろうか。だとしたらこの特権を私以外の誰にも見せたくないなと思った。 「浮気しないでね」 「この話の流れでなんでそーなる。つーかこっちの台詞だ」 「だって私はありえないもん、洋平以外なんて」 「………ったく、そっくりそのまま返してやるよ」 寝ころぶ洋平の上に身を乗せて顔を覗き込む。私が乗ってもまったく動じないほどの体格差、私とは全然違う硬いからだ、でも体温は私よりも断然に優しくて温かい。 「ちなみに、この外されたホックはどうしてくれんの?」 「そりゃあお前、皆まで言うか?」 「すけべ」 「男はみんなスケベなんだよ」 ましてや健全な男子高校生だぞ。そう言って洋平の手がぐっと私を引き寄せて唇にキスをした。そのまま何度も唇を合わせて甘い吐息が部屋に響く。外はもう夕暮れ時で、電気をつけていない部屋は少し薄暗くなっていた。それでもハッキリと洋平の顔が見えて、優しく私を見つめる。 「洋平って大人っぽいけど、ちゃんと少年だよね」 「俺なんてクソガキだよ、お前に対しては余計にな」 「私には?どうして?」 「そりゃあ、大人ぶってられるほど俺はできてねぇよ……お前には毎回かき乱されてんだ。惚れた弱みっつーの?」 洋平の手がくしゃりと私の髪を撫でて、そのまま頬に降りて包み込む。洋平の手は私の手よりも全然大きくてゴツゴツとしていて、それでも誰よりも優しい手だ。そしてそんな風に言われて、私は胸の奥が熱くなった。 「名前は?」 「え?」 「俺といて、お前はどーなの?」 少年…とは言ったけど、こうやって私の反応を伺うような視線を向ける彼の表情は、大人びて見えた。ん?と甘く低い声が私の耳を撫でる。 「………そんなの、洋平といるとぜんぜん余裕なんてないし…いつも心はしっちゃかめっちゃかだよ」 「はは、見えねー」 「がんばってるもん」 「ああ、俺もすっげー見栄張ってる」 恋は少しの見栄張りで出来ている。そんなのがあっては上手くいかないってなるかもしれないけど、この少しの見栄張りが大事なのだ。だって全てをさらけ出すには私たちはまだ、色々と足りない。 「そんな見栄っ張りの洋平さん、このまま事を進めますか?」 「そりゃあ、そこはもう歯止めきかねーッスよ名前さん」 「花道帰ってくるかもよ?」 「んじゃあとりあえず奥の部屋行くか」 「ふふ、そこは張らないんだね」 「据え膳食わぬは男の恥っつーだろ?」 「私以外の子でも食べちゃうの?」 「んなわけねぇだろ、そこは恥かきまくってやるよ」 じゃなきゃ花道の頭突き20連発ほどお見舞いするからね。 私たちはそのまま奥の部屋へとなだれ込んだ。 けれど結局、ものの数分で花道が帰ってきてしまい事は運べなかったんですけどね。 |