28 土地勘も方角もわからない それを考えることさえできないほどに 心臓は大きく音を立て 息をするのもやっとだ 身体は鉛の様に重く 壁つたいに歩いてはきたが 視界もぼやけ おかしくなりそうな中 ただ帰ることだけを考えていた 麻痺していく感覚が酷く怖い 生きているのだと実感できなくなることが怖い 痛みを感じるうちに死んでしまおうか そうすれば 私は、生きていることを実感できるはず 『・・・・・・・・っ』 結局 私は何者でもなく 消えるのか 何のために生きてきたのか もう考えたくもない 好きだった読書も 太らせるための餌でしかなかった 『っ・・・・・・・・・・』 小さな段差に足を引っかけ盛大に転んだ 素足ではやはり限界がある 暴動により散らかった街の中を歩いてきたのだ ガラス片や、小石でぼろぼろになっている 本当はもう歩きたくない 道路に座り込んで このまま時間が経てば こんな身体なのだ すぐに消える 『・・・・・・うっ』 自分がどれだけ淋しがり屋だったのか それをどれだけ隠してきたのか それに気づいてしまったからか 涙が一向に止まらない 『・・・・・寒い』 私は、どこで選択を誤った? ずきりと来た痛みに意識が遠のくのを感じた ←→ 目次 |