番外if1 3つになる自分の娘の頭を撫でながら 机に載せた本のページをめくった 世界が変わろうとしている 何れ愛娘を残して死ぬのかと思うと こんな世界に・・・と、考えてしまう 彼女が病に倒れ、息を引き取って半年 先進国での内戦は激化 日本では諸外国からのダメージを回避するため 鎖国政策が施行されることになった 企業の国営化に 職業適性考査の導入検討 平和だったころに彼女と海外旅行に行ったのが懐かしい 今では、荒れ果ててしまっているのだろうか この子にも、あの景色を見せてあげたいというのに・・・ 3歳には難しすぎる文章を必死に目で追う娘の 自分たちと同色の髪を撫でる 「なぁに?」と振り向いた娘に笑い返し頬をつつけば にこにこと楽しそうに笑った あぁ、なんて息苦しい世の中なのだろうか そのうちに、本にも厳しい検閲が入るのではないだろうか 今読んでいる本も突然、異物とされるかもしれない 「新零は、本が好きか?」 そう尋ねれば、もちろんとばかりに大きくうなずいた 「菖蒲も、本が好きだった」 「ママも!パパも、すきでしょう?」 「そうだね」 また、にこにこと笑った それから、数ページめくれば眠気に負けた新零が自分の方に倒れてきた 小さな身体を抱き上げ寝かせてやる 飾られた彼女の写真は、笑っているわけでもなく 特に表情のない何気ない1枚で 一番彼女らしい1枚だと我ながら思った 君といると本当に退屈しなかったよ 変わり者で、猫みたいに気分やで それでも人に愛されて・・・ あぁ、君の好きだった本は必ず新零が大きくなったら読ませてあげるから 心配しなくていい きっと彼女も気に入る もしも、生まれ変わりがあるのなら また、彼女に会いたいとさえ思う 縛られた世界の中で 少しでも自由な世界に生まれますように 柄にもないと自分を笑って 読みかけの本のページをめくった ←→ 目次 |