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「DNA型鑑定を受けてみるっていうのはどうかな?」
「DNA型鑑定、ですか?」
「もし独歩くんと、彼女に血の繋がりがあるのなら鑑定結果を見れば一目瞭然だ。ちなみに彼女の写真はあるのかい?」
「はい、初めて会った時に2人で撮った写真です」
「これは・・・よく似ているね。一二三くんには見せたのかい?」
「はい、超似てるって騒いでました・・・。一応、実家に、それとなく聞いてはみたんですが」
「特に何もなかった・・・か」
「はい」
「確かに、他人というには似ているね。私としてはやっぱり調べてみるのが1番だと思うよ」
「先生の病院でもできますか?」
「もちろん。一度、彼女に来院してもらうことにはなるし、少し手続きに時間はかかるけれど、曖昧なままよりは彼女もいいと思うのではないかな」
「わ、わかりました。ありがとうございます!早速、椿さんに聞いてみます」
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椿さんに連絡をすれば、即座に賛成の声が返ってきた。
今日が約束の日で、待ち合わせの時間だが特に連絡もなく、彼女は姿を見せていない。何かあったのだろうか。彼女の仕事柄、きっと緊急で呼び出されたのかもしれない。いや、それとも俺に・・・
「もしかして、麻天狼の観音坂独歩さんですか?」
「え?え・・・」
「ほらぁ、やっぱりそうじゃん!本物!!」と声をかけて来た女の子が少し離れた場所にいた仲間を呼んだ。これは、どういう事態だろう。確かに待ち合わせの場所に人の多いところは選んだが、予想外の出来事が起きてしまった。こんな30手前のリーマンへ向ける顔とは思えないほど輝いた笑顔を向けられ思わず目を細める。彼女たちの質問攻めに言葉に詰まっていると、急に横から腕を引かれた。
「兄に何か用ですか?」この一言で集まっていた女の子たちは「待ち合わせの邪魔してすみませんでした」と自ら離れて行った。
「私、余計なことしました?困ってるように見えたので口を出してしまったんですけど」
「余計なことなんてとんでもない!困っていたところを助けて頂きありがとうございます」
「それなら良かったです。私も、遅刻してしまってすみませんでした。ちょっと交番に1人引き渡してきたので」
「・・・お疲れ様です」
「いえ、観音坂さんも仕事お疲れ様です。私のことなのに、色々と考えてもらってしまって。ありがとうございます」
「そんなことありませんよ。では、行きましょうか」
「病院ってもしかして、神宮寺先生の?」
「はい、俺からお願いしてあります」
「観音坂さんが良い人で私は嬉しいです」とにこにこと嬉しそうにされた。その言葉をどう受け取っていいのかわからなかったが悪い意味ではなさそうだった。
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椿さんを見た先生が一言「興味深い・・・」と口を開いてから、じっくりと観察された気がする。
「他人の空似ということもあるから私からのコメントは控えて置くよ。では椿さん、独歩君。これから検査について説明をします。その後、検査室で指示に従ってください。検査結果が出るのに少し日にちが必要になるから、結果が出たら独歩君に連絡を入れますね」
「わかりました」
「よろしくお願いします」
彼女の力になれたらと思って動いてはみたが、ここまでくると自分も興味が湧いてくる。たとえ他人の空似だったとしても、また会えるだろうか。もしかしたら一二三が前に進む1つの手としてなり得たり・・・さすがにそれは無理か。渡された書類を書きながら、一言二言と椿さんと話していると、彼女もO型ということを知った。結局1番時間がかかったのは書類の記入だった気がする。
「では、独歩さん。先生から電話あったら教えてくださいね!今回は入間さんが協力的なのでいつでも行けると思います」
「うん、すぐに連絡するよ。仕事もできる限り調整するから」
「くれぐれも無理はしないでくださいね」
「あぁ。めめも。帰り気を付けろよ」
「はい!」
病院を出るころには、自分でも驚くくらいに彼女との仲が良くなっていた。
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