09
的場は、一応、見た目も良いらしく愛想がいいので
なんだかんだ、人とは上手く付き合う
何とも言えない胡散臭さも
意識しなければ気にならないだろう
そのせいか、女子の視線が送られていることがある
家柄がいいのもあるのかもしれない
明翠は、一応、見た目が良くて小柄なこともあって
男子の話題になることは少なくない
ただ、その怪我の多さ(最近は、ほとんどないが)と
やや不器用な性格
周りとは違う品の良さが人を遠ざけがちだ
それでも、少しでも関わりを持てば何かが見えてくるのか
そういう視線で見る者が3年間で増えた
呼び出される時はたいてい不機嫌で
めんどくさそうに戻ってくる
それなら、最初から行かなければいいのに
「明翠は、何て断ってるの?」
『貴方とお付き合いしてるほど暇じゃありません』
「ははっ、酷い言われよう」
『そういう的場は、なんて断ってるのよ』
「許嫁がいるので、その気持ちには応えられません」
『うわぁ、うそつき』
「あながち嘘じゃない。実際、見える人間じゃなければ、条件を満たさないだろう?」
『そうでしょうけど』
「手のかかる幼馴染がいるしね」
『どういう意味よ。...的場は、もしも好きになった人が妖を見えない人だったら、どうするの?』
「考えたことないな」
『好きな人を諦めて、お家繁栄のために別の人を選ぶの?』
「本当に、考えたことがない」
『...お家繁栄のための人と、好きな人が見える人だったら』
「両方を兼ね備えた人なら問題ないんじゃない?」
『答えになってない』
「おれより、椿の名を背負った明翠の方が考えるべきじゃない?過去に色々あったって聞いてるけど?」
『......そうね』
「そろそろ自分のことを見た方がいい」
『.........』
「周りばかり気にするのは、明翠の悪い癖だ」
『そんなこと言われても、よくわからない』
「自分を大事にしろって言ってる」
『的場に言われる筋合いない』
「そうやって、また考えないように人に向ける」
『.........』
「妖に対する感情も、行き過ぎる使命感もプライドも、持ちすぎた力も、自分とバランスが取れなければ意味がない。」
『.........』
「じゃあ、また明日」
たまには、あれくらい言ってもいいだろう
諦めているような、自分を蔑んでいるような顔で振られた手を見ないふりをした
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