05









「.........っ!!!」


森の中を隠れる場所を探して走っていると丁度よさそうな岩陰があった。そこに一度身をひそめることにして息を整える。そうしているうちに、妖の気配が遠ざかったような気がして岩陰から顔を出した。
視界には見当たらないと息を吐くと同時に、後ろに気配を感じ、首にすっと何かが伸ばされた。

「何をっ...!」

力がこめられ、徐々に首が絞められていくのを、握った拳を振り回して可能な限り抵抗すれば、少しずつ力が緩められていく。

「......こらっやめろ!!!」

『!!』

小さく聞こえた悲鳴と共に倒れた妖は、しばらく動けずに転がっていたが、そろりと立ち上がって笑ったように見えた。

「.........」

危険だと分かっているのに
体が動かない

『...人の子だ。人の子だ。人の子............人の子』

「.........っ」

再び、すっと伸びた手は、触れる一歩手前でだらりと下に降りた

『................』

「...おれに、何かようか?」

動かない足はそのままに
立ち尽くした妖に声をかけた

もしかしたら、友人帳に名前があるのかもしれない

『.........人の子』

「ああ」

人というには不恰好な様子から表情を読むこともできない
こんな時に、先生は何をしているんだ
そう思っていると、その妖は、首を傾げ
また岩陰に戻って行った

一体なんだったのか
気づけば、身体も動くようになっていた



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