「名取さん?!」

「久しぶりだな、夏目」

あれから、1週間ほど経った
妖たちに色々と聞いて周ったが
特に、これといった情報は得られなかった

ただ不審なことが山で起きているのは事実だった

「どうかしたんですか?」

「最近、この辺りで妖の血が発見されると報告があってね
 少し様子を見に来たんだ。また、夏目が何かに巻き込まれているのかもしれないしね」

「・・・・」

「それで、何か、知っているか?」

「・・・・・はい。おれも、妖の血を山で見ました」

「・・・噂は本当ということか。もしよければ案内してくれないかな
 悪いね、本当は巻き込みたくないんだが」

「構いませんよ。おれも気になって妖たちに聞いて周ってたんです」

「また、君は面倒事に首を突っ込んで・・・」

「すいません・・・ほかにも気になることがあって」

「気になること?」

血を目撃した場所へ案内しながら
あの妖のことを話した
点々としている血痕の4つ目を案内し終えたところで
名取さんが、その妖について口を開いた

「この血痕の原因は、その妖かもしれないな」

「・・・・・・」

「本当は、君もそう思ったから調べていたんだろう?」

「・・・はい」

「おそらく、その消化不良状態を抜け出すために力を必要としているんだろう
 そうすれば完全にその人の子を取り込めると・・・」

「それじゃぁ、早く助けないと」

「・・・・・・それは、難しいかもしれないよ夏目」

「・・・・・・・・っ」

「あまり言いたいことではないけれど・・・・・いや」

「?」

「力の強いものを喰らったと言っていたね」

「はい、先生が。確かに、先生がその妖に飛びついたときに火傷みたいになったんです」

「・・・・・火傷?」

「おれが触っても平気で、その後、先生を触れさせてもそうはならなかったんですけど」

「その妖と話すことはできるのかい?」

「できますよ・・・」

「今、どこにいるのかもわかるのか?」

「それが、ここ最近、前にいた場所にはいなくて」

「・・・そうか」

「名取さん、その妖の中にいる人に心当たりはありませんか? 
 力の強いということは、祓い人の可能性も」

「・・・・・・1人いるよ」

そう言って、少し視線を流した
柊たちに、その妖を探すよう指示を出し
また、おれに向き合った

「夏目は、この件には関わらない方がいい」

「どうしてっ!」

「君が優しいから・・・かな。まぁ、止めたところで
 聞く君じゃないか」

そう言って、息をはいた

「君が傷つく結果になることが私は怖いのだけど、それでも
 それでも、関わるというなら、」

「名取さん、おれはその人を助けたいんです
 名取さんのいうように、何が起きても・・・このまま引けと言われても引けません」

「まったく君は・・・・わかったよ。
 なら、先に言っておくよ。この件には、的場が絡んでる・・・・それでも?」

「・・・・はい」


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