1 昔から、かわいい男の子と言われた 近所のおばさんにも、男の子と認識されていた気がする たしかに、女の子と遊ぶより男の子に混じって遊ぶ方が好きだった ピンクやフリル、女子向けアニメよりも ブルーやズボン、戦隊もののアニメが好きだった 髪も今でいうベリーショートぐらいに短くて Tシャツに半ズボンで男子に混ざって遊んでいたら だれだって男の子と見間違えるくらいだった 一応、長女であり末の妹である 上に3人の兄がいて、長男とは10歳、離れている 両親からしたら待望の女の子だったかもしれないが 残念ながら、ボーイッシュな服装ばかり、女子の遊びにはあまり興味がなく 成長しても尚、中性的な顔つきのせいか男と間違えられることもないわけではない 幼稚園でも男子と遊び 小学校でも、男子と遊ぶことが多かったものの 女友達がいなかったわけでもない、それなりに上手くやっていたつもりだ 上がりたての頃は赤いランドセルが嫌で 兄のランドセルをひっぱり出してきて使って 母に泣かれたのを覚えている もともと高めの背は中学の3年間で 170近くまで伸びた。正確には169cm その時は髪も短くて セーラー服を着ているから女子とわかるくらいじゃないだろうか ただ精神年齢的な違いから、小学校の5,6年ころからは 男子との付き合いを減らして女子と仲良くするようになったので 中学もその延長だった 恋に恋する女の子の話しを聞きながら 恋愛なんて知らないくせにアドバイスをして、 誰が誰を好きで、誰と誰が付き合って、何々さんはもうやったんだって なんて会話を毎回する テレビの話にアイドルの話に噂話だ 仲の良かった友人に“新零は紳士だよね”と言われ 意味が分からなかったけれど その辺の男子よりもレディファーストで女の子に優しいらしい 特に意識した覚えはないけれど 背の高さと幼少期から自然に鍛えられた運動神経で 中学からはバレーボールを始め、それなりに活躍はしたんじゃないだろうか 卒業の際に、後輩たちに泣かれる程度には先輩らしく過ごせたようだった 高校でバレーを続けるつもりはない 地元の高校ではなく、少し離れた高校に進学が決まって 度々帰ってくるあの兄たちから離れられることに喜びを感じながら 入寮のために、自室で荷造りを始めれば 思っている以上に自分が喜んでいることが分かった。 姿見を見ながら、伸ばすことも考えたけれど つい先ほど短く整えてもらった髪を手で触れ、そうだと試しに箱根学園の制服に袖を通すことにした。似合うか似合わないか、どうだろうか。個人的にはセーラー服の方が似合うような気もするが、問題はないだろう。どちらかというと、これ以上身長が伸びないことの方が気がかりである さて、荷造りをさっさと終わらせようと上着を脱いだところで 2番目の兄と母が派手な音を立てて自室のドアを開けた 「新零、本当に家を出て行くのか」 『当然』 「やはり、自宅から通うとか」 『嫌』 「新零ちゃん、やっぱりお母さんたち心配よ」 『大丈夫だって、1人暮らしじゃなくて寮生活だから』 「だから危ないんだ」 『なんでよ』 「新零は女子にモテるから、危ない展開に」 『ならない』 「そうでなくても、お兄ちゃんは心配で、お前にもしものことがあったら」 『大丈夫だから』 「新零ちゃん、また髪の毛切っちゃったのね」 『・・・・』 「あ・・・・、新しい制服似合ってるわよ」 2人が去って、部屋が静かになった 母は、私に可愛い服を着せたがるし 髪を伸ばして、少しでも女の子らしくさせたいらしい 昔からそうだった クローゼットには母が買って来た可愛い服がたくさん入っている 私が好きで着ている服だって、かわいい けれど、母にとってはかわいいと言わないらしい 「そういえば、新零ちゃんと幼稚園の時から一緒だった・・・えっと何君だったかしら?あの子も、同じ高校へ通うみたいね」そう残して去っていた母だが、誰の事だろうか。幼稚園から中学まで同じの男子は何人かいる。男子の進学先は聞いていないからわからないが、あいつでなければいいとブラックリストに載った、あの名前を思い出して無性にイライラとした → 目次 |