7 彼氏がいないのは事実だが 恋をしたことはある 片思いだけれど 好きだなぁと思った人は、過去に2人いる 運動が得意のタイプというよりは、教室で静かに本を読んでいるタイプだ 箱学に来てからも、いいなぁと思う人がいないわけじゃない すらっと背が高くて文系の青年というのは魅力的で好きとまで行かなくても そう思うことはある 中学のころは人から恋愛の相談を受けることが多く それが女子に限らず、男子もいた 小学校からの男友達に、実際、女ってこういうのはどうなんだ?と聞かれることも多く、私に聞くなと何度思ったかわからない。“椿って見た目が女っぽくないから話しやすくてさ、小学生からのよしみだろ?頼む”と言われ、ため息をつきながら色々と答えたが、あれもこれも未経験な私にそんな話をしないでほしかった。 「椿」 『うん?』 「そういうものは、俺が持つ」 委員会の当番で一緒になった福富くんが私の手にあった段ボール箱を奪っていった それほど重いとは思わなかったけれど軽々と持っている福富を見て、男の子だなぁとしみじみと思った。自分がよくしていることをしてもらったというだけだけれど、少し嬉しい 『福富くんって、何部だっけ』 「自転車競技部だ」 『そ、そうなんだ』 また自転車か・・・私に関わる男子はなぜこうも自転車に乗っているんだろうか 「東堂が、学祭で部活の様子を見に来ていたと聞いたが、興味があるのか?」 『ないわけじゃないけど、そういう競技もあるんだなぁって。私の知ってるやつが、高校入って始めたって聞いたからさ』 「荒北のことか」 『・・・・そうですが』 「そうか・・・」 『早く部活行きたいんでしょう、福富くん。さっきからそわそわしすぎ、さっさと終わらせよう』 「・・・・・」 少し驚いた顔をされたけれど、足を速めて進み始めたところを見るとやはりそうなのだろう 大人しそうに見えるけれど、金色に染められた髪の毛には何の意味があるのかなぁなんて思ったけれど、たったと前を歩く彼に歩調を合わせることにした 「椿は、背が高いな」 『そうだね。170あるし』 「中学からか?」 『中3の時には、ほぼ170あったよ。もともと背は高い方だったし』 「あまり背が変わらないので驚いた。気にしていたのならすまん」 『いいよ、気にしないで。そうは言っても福富くんの方が高いし、成長期の男子は怖いから』 「怖い?」 『私、上に兄が3人いるから、慣れっこで。みんな高校入った途端に背が伸びるから怖くてさ』 「みな背が高いのか?」 『多分、180くらいだと思う。あの中に立つと私が小さく見えるから』 「末の妹は可愛がられるんじゃないか?」 『・・・そうだね。嬉しくないことに』 「?」 「寿一」 『?』 「新開、部活はどうした」 「俺は、掃除。寿一は委員会か?」 「あぁ」 「あ、もしかして椿さん?」 『そうだけど、もしかして自転車部?』 「そうだよ」 『やっぱり』 「俺は、新開ね。よろしく」 『椿です、よろしく。新開くん』 人当たりのよさそうに、にこにことしている新開くんを眺めながら、そういえばこの人も確かモテる。女子の会話に上がる男子というのは、かっこいい、優しいのいい意味でか、それともキモイ、うざいのどちらかで、彼は第一印象の通りに前者である。 「じゃぁ、先に部活行ってるな」 「あぁ」 「椿さんも委員会がんばって」 『うん、ありがとう』 すれ違っていく新開くんを見送って、また福富くんの横を歩く 男子と並んで歩いたほうが背が目立たないので楽である。中学のころは特に背の高さが嫌で友人に合せて少し背を屈む必要があった。そうでなければ、小さな声は聞きとるのが難しく20cmの身長差は中々につらいものがあった。今は同じくらいの身長の友人といるので背は伸ばすことができるし、1人だけ目立つこともない。私より背の高い女子だってたくさんいる。現にスポーツ選手にはたくさんいるし、彼女たちは同じようなことを思ったりするのだろうか・・・そうバレーの試合を見ながら思うことはよくあった。 「新開とは中学から同じでな」 『そうなんだ、仲いいね』 「部活も同じだったからな」 『高校も一緒だと6年間の付き合いになるのか、いいね』 「お前も荒北と同じ中学なのだろう?」 『・・・え、それは嬉しくないけど。幼稚園から一緒だから15年くらい一緒になることになるけど、仲は良くない』 「長いな」 『ほとんど同じクラスになってないから、遊んでたのは小学校の途中くらいまでかな』 「・・・・・・・」 『え、何?』 「遊んでいたのか?」 『あ・・・あぁ、まぁ。運動好きだったから、男子に混ざって昼休みとかにね』 「そうか」 嫌なこと思い出した 『・・・・』 ←→ 目次 |