8 事件は体育祭の後に起きた 私のクラスでも数人被害者がいる どうやら各クラスで数人ずつ被害者が出ているようだ すでに見つかっている物もあるけれど、それはまだ少数で 被害者の多数が、そことは違う場所に隠された・・・?可能性が高い すでに片付けもHRも終わっているので、着替えて帰るだけだったため 校内に残っている生徒は少ない 片付けの関係で少し遅れて更衣室に行けば、教師が集まって何かを話していた 百合と夏葵から“数人の制服がなくなった”と聞いたときは こんな私立の高校でも起きるのかと驚いたけれど それが上だったり下だったり、人によって違ううえに 部屋の中に隠してある物もあったらしく、余計に意味が分からない 「新零の制服はちゃんとある?」 『うん、あるよ。自分のロッカーに入れてたし』 「私達もちゃんとあったんだけどね・・なんか怖いなぁ」 不安そうにジャージのままでいる子たちを不憫に思いながら、さっさと着替えを済ませて荷物をまとめておいた。教師が着替えの終わった生徒は下校するようにと声をかけていたけれど、制服がなくなった子とその友人たちはちらほらと残って教室内を探していたので、教師に声をかけて校内を探すことにした。教師で探すからと言われたけれど、このまま帰るのも気が引ける。手伝えるものなら手伝いたい 教室奥の準備室からも出てきたらしいが、やはりそれ以上は見つからず 私は、廊下に出てありそうな場所を探し始めた。手始めにゴミ箱だったり、空いているロッカーだったり覗いてみたけれど見つからない・・嫌な話、誰かが持って帰ったんじゃないかと思えてくるが、ならなぜ教室に隠したりしたのだろう。そもそも体育祭中、各教室の鍵は閉められているはずで入ることなんてできない、鍵の管理は職員室で行われているはずだ。なら教師・・・?それこそ問題じゃないか 『トイレとかにあったりするのかな・・・』 校内のトイレを周ったら、相当疲れるな・・・と言っている場合ではないのかもしれないかと、近くにあった女子トイレから探し始めて、ふと男子トイレも探すべきかとちらりとそちらを見る。おそらく戸も開いているのだから中には誰もいない。嫌なことは思い出すけれど、仕方ないと足を踏み入れて個室を覗くがやはり何もない。それを繰り返しながら更衣室の教室まで戻って来た 『あれから、見つかりました?』と聞けば、近くの教室の掃除用具入れから少し出て来たようだった そういえば、この階のトイレは調べていなかったなと教室を出て一番近くの女子トイレを確認して男子トイレに足を入れようとしたところで、嫌な声が後ろからして足を戻した 「へぇ、椿はやっぱりこっち使うのか」 『・・・荒北』 「さっさとどっか行けヨ」 『なんで』 「なんでって、ナァニ覗きたいわけェ?」 『っ・・違う。ちょっと探し物してただけ!!使うなら、どうぞ!!』 「あ?探し物?」 『女子の制服がなくなったのっ』 「・・んだよそれ、気持ちわりぃ」 『だから探してんの』 「そーいうことかヨ」 『あんた、本気で私が使うと思ったわけ?』 「おとこおんなだしぃ?俺にはわからねぇナ」 『最低』 「お前が来た時から、そこ閉まってたか」 『え?』 男子トイレの一番奥にある個室の扉が閉められている ここまで確認してきたトイレも、このトイレも中に人がいなければ扉が閉まっていることはない・・・ 「人が入ってるかもしれネェのに中に入ろうとするなんて、馬鹿じゃねぇのォ?」 そう言って私の肩を押しのけて中に入って行ったので、とっさに戸を閉めようと手を伸ばせば中から乱暴に戸を叩く音が聞こえて、中を覗いた 『そんな叩き方したら、怯えて出てこれないじゃない』 「うっせぇな・・・・はっ、めんどくせぇ・・・・」 個室の上に手をかけて、鍵の部分に足をかけて中を覗き、そのまま中に入ったところを見ると人はいなかったようだ。鍵を開けて中から出てきた荒北が、こっちに来いというので結局、男子トイレに入って奥まで行けば、便座の蓋の上に制服が置かれていた 「・・・気持ちわりぃ」 『・・・・・・・・』 「お前は、ちゃんとあったのかよ」 『・・・え、あぁ、見ての通りちゃんとあった』 「・・・・・・・」 『荒北、ありがと』 「・・・はっ、そう言うのいらねぇんだヨ!」 気持ち悪い 何を思って、こんなことやったんだろうか 生徒か教師・・・はたまた外部の人間かわからないけれど 見つかったというのに、なんだこの気持ち悪さは 「椿」 『何』 「さっさと、出・・・チッ」 大きな舌打ちをして出て行った 荒北に何事かと思えば、そういえば本来あの男は、本来の目的でここを使うために来たのだ・・・・そう気づいたときには、すでにいなかったし、ここにあったと言うことを説明すれば教師も来るだろうから、どちらにしろここは使えなくなるだろう 『先生、制服ありました・・・数、合いますか?』 「どこに?」 『・・・男子トイレの個室に』 「・・・・・・そう、ありがとう。確認するから、あとで状況教えてね。椿さん、たしか寮よね?」 『はい』 「うん、ならもう少し時間もらってもいい?」 『はい・・・』 「男子トイレ・・・か」 教師側も困惑しているのを少し眺めて、先に戻っている百合と夏葵に連絡を入れた 教師に状況を説明してなんだか疲れて寮に戻った 「犯人見つかったのか?」 『見つかってないんじゃない?先生たち何も言わないし、クラスでも聞かれてないでしょ?』 「・・・・・」 『心当たりあるの?』 「ねぇけどォ・・・・お前は制服あったんだろーが」 『そうだけど、なんか気持ち悪いじゃん』 「そりゃ、そーーだけどォ!!あー・・・もし、犯人わぁったら一応教えろよ」 『うん、あ』 「んだよっ!!」 『トイレ、ごめんね。じゃぁ』 あれから数日経っても教師は何も言わなくて 噂はどんどん広がって 結局、各クラスでその話がされたものの 目撃者も該当人物も何もわからないまま終わってしまった ←→ 目次 |