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「昨日は、新零ちゃんが久しぶりに来てくれたのよ。お友達になったのね」
母は、そう嬉しそうに俺に話してくれたので
俺も昨日のことを母に話せば、また優しく笑ってくれた
母も姉も新零のことをひどく気に入っているらしい
確かに学校でも遠目に彼女を見つければ、その周りにはいつも人がいる気がする
「会いに来てくれるのは嬉しいのだけど、またどこか良くないのかしらね」そうぽつりと呟いたのを聞いて、彼女もここに通院や入院していたことを思い出した。個性のことを思えば、コントロールが難しいのだろう。感情と個性のコントロールが上手くできなければ、彼女の周りは大惨事になりかねない。
普段はそんな素振りは見せないな・・・
授業後、体操服姿の新零を見かけたのは、それから数日後のことだった
体育の補修だろうか?と最初は思ったが道中で相澤先生が合流したのを見て違うと判断した。だが、だからといってついて行っていいはずはない。後で連絡をしてみることにした。
「今日、授業後に何してたんだ?」
「ん?」
「体操服で相澤先生とどっか向かってただろ」
「見てたの?」
「偶然な」
「・・・・」
「悪い、聞かない方が良かったか?」
「他言無用でお願いします」
「わかった」
「簡単に言うと、ストレス発散」
「・・・・・・?」
「たまに派手に個性を使わないと、ストレス暴走するの」
「なるほどな」
「ヒーロー科が使ってる施設で、どかんって使ったから1つ駄目になったかも」
「・・・・」
「冗談」
「・・・大丈夫か?」
「ん?大丈夫だよ」
「声が大丈夫に聞こえねぇ」
「・・・・・発散後の光景みたら自分は破壊神なんじゃないんじゃないかってショックなだけ」
「・・・・・」
「私はヒーローになりたいと思ったことは一度もないけど、なれないんだよ」
「・・・・・」
「全部を嫌うことはできても、全部を好きになることはできない」
「・・・・・」
「焦凍くん、ごめんね、今日はもう疲れたから寝るね」
「あぁ、悪いな・・・おやすみ」
「おやすみ・・・電話くれてありがと、愚痴言っちゃってごめんね」
電話置いて、息を吐いた
それぞれ事情がある、言いたくないことだってある
「・・・・・・」
彼女の弱い部分を知れば知るほど
もっと知りたいと思ってしまった
そう思ってしまったのは不謹慎なんだろうか
落ち込んでいる彼女に何か言うべきだった
何を言ったところで同情になる、無責任になる
緑谷なら、なんと言葉をかけただろうか
自分に投げつけた言葉のように何と言うのだろう