01

私は、昔からよく泣き虫だ、なんて言われていた。まぁ、否定はしない。悲しいが。事実だから。…というか、泣き虫なのは小さい頃なら許されたかもしれない。
私……佐野若葉は、中学生である今、現在進行形で泣き虫である。我ながら、さすがに恰好悪いと思う。でも仕方ないんです!

あの人が悪いんですから!

***
PLLL...
無機質な音が耳に入る。
(メール?)
誰からだろう、と思いスマホを開く。
『星降香宮夜』
…………。
(あ、泣きそう)


メールにはこう書いてあった。
『昼休み、屋上にきて』
このメールを送ったのは星降さん。ていうか……
今が昼休みなんですが!

今からダッシュしろとでも言うのか、ご飯食べかけの私に?行くワケないじゃないですか星降さん、申し訳ありませんがご飯を優先させていただきます。
なんて思った直後
PLLL...
二度目の着信。メールではなく電話。出なきゃいけないんですかね……
PLLL...
まだ鳴っている。
(……スマホから怨念が感じるような気がするのは気のせい?)
気のせいだ。気のせい……と思いたい…けど…………
(やっぱり怖いです!!)


私は冒頭の部分通り、泣き虫だ。中学に入り、二年目。さすがに泣くことなんて!と思ったのに。
泣き虫である理由?そんなの……

星降さんが苛めるからに決まってるじゃないですか!

***
私は、屋上へと通じる階段を駆け上る。それはもう、全力疾走で。

そして屋上に着けば
「遅い。」
星降さんから第一声。しれっとした表情で言う。
「学年でワースト二位の体力なのは知ってるけど、遅いよ馬鹿」
(だってきたくないという想いと闘ってましたから)
まぁ、そんなことは直接なんて言えないけれど。
星降さんは、私の頬をつねる。
「いひゃい、いひゃいれす」
「ぷっ、すっげぇアホ面」
「ふぇっ!? ひ、ひど……」
ようやく頬から手を離され、私は両手で頬を覆う。
「あ、痛かった?」
「………はい、」
試しに、拗ねたように言ってみた
「ん、まぁ別にどうでもいいけど」
………わかってた、わかってましたから!心配されるハズがないって!!
でも泣きたいです。それが人のサガなんです。
「若葉、」
「はい?」
不意に、声をかけられる。
「メシ、もう食ったの?」
「………」
星降さんは「早いね」だとか言う。
…………知ってますか、星降さん。私、頑張ったんです。プチトマトと卵焼きと梅おにぎりを同時に食べて吐きそうになる程頑張ったんですよ!?
それを星降さんに話すと…
「は? 馬鹿?」
鼻で笑われるというオプション付きで返事がきた。
嗚呼、目から汗が出そうです。

「あ、いたいたー」
ガチャリ、と屋上の扉が開く。入ってきたのは…
「お、佐野もいるじゃん」
「ホントだ。僕もまぜてよ〜」
西野空くん、隼総くんだった。
「にしても星降と佐野、仲いいよな」
そう見えるのならば眼科に行くことを全力推奨します。
「ねぇ、早く昼メシ食べよ? 僕お腹減った」
「だな。ん? 佐野もう食ったワケ?」
隼総くんがそう私に聞く。星降さんは笑いをこらえているのだった。