2018/11/11
噛み痕 SS
「ねぇオビトー」
見かけたトビの背中に声を掛けると、彼はぐるりと振り返って露骨に苛立ちを見せてきた。
「おい。気安くその名前を呼ぶな。誰が聞いているか分からん」
「んじゃあトビ」
最初こそ不気味な人だなーなんて思っていた彼も、慣れてくるとそうでもない。というのは、私がただ怖いもの知らずなだけだろうか?
なにか用か、と相変わらずイライラしているオビトに、そんな怒ると皺が増えるよ、なんて口が裂けても言えないような悪態を心に秘めつつ、私は突然彼の手をぎゅっと握った。これにはオビトも若干驚いたようで、
「な……、何をしている」
しどろもどろになっているオビトを他所に、私は一思いに彼の手を引っ張った。スポンと抜ける彼の黒い手袋。晒された自らの手を呆然と見つめるオビト。
「ね、これ嵌めるとこ見せて」
はい、と渡した手袋を、オビトはぽかんとしながら受け取っている。何が何だか分からないまま、普段やっているように手袋を付けて見せてくれた。そう、その仕草。男性が手袋を付ける仕草って、
「えっちだ……」
「は……?」
「オビト、もっかい!」
取っては付け、取っては付けを繰り返すオビトの手は、その後擦れて真っ赤に染まり、ペインが訝しげにそれを見つめていた。
「マダラ、手荒れか?女子のようだな。小南にクリームでも借りたらどうだ」
「うるさい」