全ての始まりは、炎だった

―あつい。
あつい、あついあついあつい…
熱い。

気付けば身体中が熱さでジリジリと焦がされそうになっていた。
逃れようにも体が重い。動かない。
特に下半身が、何かズシリと重いものに挟まれているようでピクリともしない。

あつい…
空気も、床も、何もかもが熱い。
息を吐き出そうにも、体の上に乗っかる何かの重さと熱さで掠れた音しか出せない。

嗚呼。

わたしは…
私は、

死ぬのか。

まるでそう感じるのが自然かのように、私は悟った。迫り来る死の予感を受け入れた。驚く程、すんなりと。

目を閉じる。
走馬灯なんて、見えやしない。

…ただ。

遠くで鈴のなる音がする。
鈴のような………声?
閉ざされた真っ暗な世界の彼方から、微かに鈴を転がしたかのような、可憐な笑い声が聞こえてくる。

「ふふふ」

真っ暗なはずなのに、ないはずの視界の端をちらつく。

「ねぇ、ななし。」

春の晴れ渡った空をした色が。

「恋って、素敵ね?」

美しく優雅に舞うミルク色の髪が。

「わたし、今、とても幸せだわ」

恥じらうように笑う、その少女の顔が―
2018 08 05
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