SOBER

「吉乃」

いつもより熱を持った大きな掌が私の頬に触れる。優しいキス。きついアルコールの香り。私の体に手を回し深くなっていく口づけに応えるよう私も彼の胸板に触れる。

ゆっくりと銀さんの着流しを脱がせインナーも開いていく。首元に顔を埋めればいつものように布団へ運んでくれる。全て分かっている。彼がどうしたら私を求めてくれるのか。

銀さんの熱い熱が私の元へ当てられる。すでに受け入れる状態にはなっていたものの一気に貫かれてくぐもった声が出たが、痛み以上に私を支配するのは喜びと愛おしさだった。

上下に揺さぶられながら私の上で眉をひそめながら動く銀さんを見つめる。
私を抱く腕、厚い胸板、鍛えられた腹筋、汗に濡れる銀髪、潤んだ赤い瞳、私の口紅が移り普段よりほんのり色付いた柔らかい唇
目の前に見える彼のすべてが愛おしい。

次第に激しくなる律動にいよいよ呼吸が乱れてくる。するとそっとおでこに優しいキスが降ってくる。ああどうしてこんな触れ方をするんだろう。

私の中で果てた愛おしい熱を感じながら終わりへ近づく瞬間を感じる。

「気持ちい、吉乃ちゃん」
「…私も 大好き」

ずるりと引き抜かれると同時に私を優しく抱いて寝息を立て始める彼。身動きも取れず布団をかけてあげることもできないので大人しく彼の腰に腕を回した。


目が覚めたら彼はいなくなってしまう。瞼を閉じれば朝がやってきてしまう。酔いが冷めれば昔のように優しく抱きしめたり、キスをしたりしてくれない。

終わりにしたほうがいいなんて頭ではわかっているのに、あなたの愛はあまりにも心地よすぎる。


今日も私は彼の髪を撫でながら、冷たい朝をじっと待つ。




Selena Gomez SOBERから
切なくて大好きな曲