思わず聞き返した隻。万理は眉をしかめて「いつ頃かわかるん?」とやはり京言葉。海理がそわそわとしていて、結李羽が苦笑。
「どうしたの?」
『……京言葉落ち着かねぇ』
「兄さんも京都の人間でしょう」
『オレは生まれて十年は東京だっ』
「えっお兄さんやったん!? うーわぁ失礼しました」
海理が微妙そうな顔で『別に……』と返し不機嫌顔だった。
万理が想耀を呼び出して、肩に乗せている。
「想耀、僕の同級生の土野部、探してくれる?」
『あーい。……ここにはいないねぇ』
「えっ、嘘や、先帰ったん!?」
『てめー相手ならオレでも帰るな』
「ちょっ、ひどいわそないな言い方ないんとちがいます!?」
話を脇に置いたのか、万理は想耀が鼻をひくつかせている姿を不安げに見下ろした。その間にも、田賀は海理と気楽に笑って話している。
彼は千理を嫌っていた当時の万理を知っているはずだ。なのに、万理の近くに千理と似た気質の人間がいるのはとても不思議だけれど、この際気にしても仕方ないか。
「……どう?」
『んー……こっちにはいないねぇ』
相変わらずきちんと言ってくれている気がしない。けれど、田賀は不思議そうに首を捻って、一つ頷いて隻たちを見渡してきた。
「せやなあ、じゃあおれ今日は帰るわ。すいません、えらいお騒がせしました」
「あ……ああ、うん。……その、こないなこと聞くんは、失礼やてわかってはいるんやけど……土野部、もしかして混血とか……」
田賀が驚いたのか目を丸くしている。ぽっかり開いた口のまま頷いてきた。
「万理が気にするいうんは珍しいなぁ。おれ、土野部一門の分家やけど、確かにおれらんところは
「うん……想耀」
『んー、そうだねぇ。おじちゃんに伝えてこようかー?』
万理が頷き、想耀を還した。田賀が不思議そうに隻を見上げてくる。
「万理の義理のお兄さん、何かレーデンであったん?」
「……お前知らないのか。最近行方不明者があちこち出てるの」
「それは知ってます。せやけど、それは昔から変わらんことやろ? 土野部に限ってならへんやろうし。あいつ当主候補やあらしませんけど、実力はおれよりあるんや」
「隻さん、結李羽さん、海理兄さん。すみません、寄り道していってもいいですか?」
万理が申し訳なさそうに尋ねてきて、隻も結李羽もすぐに頷いた。
「送るんだろ。付き合う」
「あ……ありがとうございます」
「へ? せやけど」
「今何時だと思ってんだよ。保護者がいたほうが都合いいだろ。お前高校生じゃないのか?」
田賀が合点承知と拳を手の平に打ちつけて、海理が拳を震わせているのが見えた。
抑えるようにと睨んだものの、やはり千理と似た気質……ではなく、残念な頭の年下の少年相手では、同じように殴り飛ばしたくなるのかもしれない。