指切りではさない

「考えてもどうしようもない、か…。」

廊下は前後に広がっていて、後ろの方はここから見えると行き止まりのように見える。
出てきた教室の扉の真上にあるプレートを見ると"4-2"と書かれていた。
なら、おそらく前後の教室は"4-1"と"4-3"だろう。
……とにかく1階を目指そう。
1階からなら昇降口に限らず、窓からだって外へ出れるはずだ。

行き止まりの方へ背を向け真っ直ぐ続く廊下を恐る恐る進む。
ギシギシとなる木材の音に心臓の音を早めながら進んでいくと階段とその手前に少し広めの教室があった。
途中、教室へ続く脇道とトイレがあったが寄り道しなくて正解だったみたい。

「この部屋、さっき拾った家庭科室かな…?」

何にも出会わなかったことにほっとしながら階段の方へ進み、少しの好奇心からプレートを確認しようとその部屋に近づく。
途端、その部屋の中から音がするのに気づいた。
反射的に身体が固まる。
その間にもカツカツというまるで足音のような音は段段と近づいてくる。

に、逃げなきゃ…!!

「えっ!…!!」

咄嗟に出口へ向かおうと階段へと踏み出した足を何かにとられ、バタリと転ぶ。
その物音に気づいたのだろう、部屋の向こうの足音が早まる。

「(やばっ気づかれた…!早く逃げなきゃ!)」

体勢を整えようとするも足が何かに引っかかって、上手くいかない。
引っかかるどころかグイグイと引っ張られている感覚までしてくる。
早鐘のようになる心臓と上手くいかないもどかしさでどうにかなりそうで

「(なんで!?どうして!?)」

足に絡みつくなにかを無理やり引き抜こうとしたとき、足に何が絡みついているのかを目視してしまった。

手だ。
足首を、
床から生えた手が、
引っ張っている。

「ーーーっ、!!」

喉の奥から声がにならない引きつった音がでる。

嫌だ。
もう無理。
誰か助けて。

心臓と心が限界を迎えそうになった時、ガラリと引き戸が空いた。
引き戸をあけ、教室から出てきた軍服の男は手に持っていた刀をスラリと引き抜くと私の足目掛けて一直線に刀を刺した。