骨の髄まで存分に
「三日月…」
「はっはっは…。良い良い、幸せになるのだぞ。」
涙ぐむ俺の手を握った三日月は…そう言って俺達に背を向けた。
「さて、奴らは俺が引き受けよう。山姥切、主を頼んだぞ。」
「ああ。言われなくとも。」
国広に手を引かれ、ゲートへと足を進める。
その間も俺は三日月から目を離せないでいた。
「三日月!お前と…いやお前たちと過ごせた日々はとても幸せだった!これは俺の本心だ!」
ゲートに足を踏み入れながらも必死で叫ぶ俺に、振り返りニコリと笑いかけた三日月の姿は…
「ああ…俺もだぞ。達者でな。」
という言葉を最後に見えなくなった。
こうして、とある審神者の長きに渡る戦の日々は終わりを迎えた。
- 晦 -
(三日月から貰った巾着袋の中に「役目を終えた暁にはその刃の欠片を祀り、大福でも供えてくれ」と書かれた手紙が同封されており、国広と顔を見合わせて笑ってしまった。)