君と過ごす
「俺の誕生日10月10日だから。」
ふらりと団子屋に来た銀さんはこっちを見ながら言った。…なんでこっち見てんの?
「へぇ、おめでとぉございますぅ。そろそろ三十路ですかぁ?」
「ちげーから!俺はサザエさん方式で歳はとらねーの!当日また来るからよー、俺と…」
「じゃあ大してめでたくも何ともないですねぇ。さよぉならー。」
ぐいぐいとまさちゃんは銀さんを店外に押し出す。仲良いな。
「おいィィィィ!!わかったな!?10日だからなァァ…!」
だからなんでこっち見てんの?最後まで叫びながら銀さんはまさちゃんに追い出された。
結局コレは、誕生日を祝えってコトだろうか。
誕生日…誕生日ねぇ。まぁお世話にはなってないし、顔見知り程度の仲だけど要求されちゃったしなぁ。銀さんて何が好きなんだっけ?甘味、ギャンブル、酒、女…いやいや。
形の残らないものがいいかな。変なキーホルダーとか貰って困った事があるし。身に付けるような物も彼女じゃないんだし…。よし、食べ物にしよう。
居酒屋とかでいいかな?ケーキは当日万事屋でも食べるだろうから、小さいのでいいよね。
10月10日当日―…
「おじょーさん。」
「あぁ、いらっしゃいませ。」
「銀さんだぁ〜。今忙しいんでぇ後にしてもらえます?明明後日くらい。」
「嘘つけェェェェ!!俺以外の客いねぇじゃねーか!!」
「えぇ!?銀さんには見えないんですかぁ?」
「な、なにが?ススススタンドなんていねーよ?信じねーよ?」
「くすくす」
「やめろォォォォ!!!!」
仲良いなぁ。
「あ、そうだ坂田さん。」
「え?あ、なに?」
「今日の夜、空いてますか?」
「「え。」」
「夕飯食べた後でいいんですけど。」
「え、えぇぇぇぇ!!?」
「ダダダ、ダメですよぉ!?はやまらないでくださぁい!!」
なんの話?
「お、おー。空いてる空いてる。何時まででもOK。」
「てめェェェェ!!」
銀さんをガクガクしているまさちゃんを見ながら思う。なんか深読みしてね?
「良かった。たまに行く居酒屋なんですけど。」
「「え。」」
「9時くらいでどうですか?」
「お、おー。OKOK。」
「わりと此処から近いので、そこのコンビニで待ち合わせで。」
「おー、分かった…いででで!!」
まさちゃんが銀さんの耳を引き摺って行ってしまった。仲良いなぁ。まぁいいか、ケーキは後で取りに行ってお店に預けて、そのまま予約しておこう。そんなに混むお店じゃないけど念のため。
「分かってると思いますけどぉ、迎え狼にも送り狼にもなるんじゃねーぞ。」
「途中狼ならいいのか。」
「…んなわけあるかァァァァ!!!!」
ドゴオォォォッ!!!!!
なんかスゴい音が聞こえた。仲良いなぁ。