一年後


「スネイプ先輩っ!」
「…なんだ」

振り返った先に居たのはスリザリン寮の後輩だった。図書館で数度会ったことがあるだけの認識だが。

「あの、先輩…」
「?」
「えと、あの…」

煮え切らない態度に眉間に皺を寄せて少し首を傾げる。なんなんだ一体。本を片手に、これから向かう場所へと足を向けようとする。すると彼女は決心したのか、力強い目をして顔をあげた。

「スネイプ先輩!」
「あ、あぁ…」
「好きです!私と、付き合って下さい!」
「悪いがそれはできない」

間髪入れず答えると彼女は目を見開き、次の瞬間には涙を溜めていた。

「ど、どうしてですか…。まさかポッターさんやブラックさんの事が「其れは無い」」

彼女が言い切る前に断言する。其れは無い。大体それはアイツのデタラメで。

「な、ならどうしてですか!グリフィンドールのあの人ですか!?」
「…リリーは関係無い。ただ君の想いには応えられない」

これ以上話すことは無いと、今度こそあの場所へと足を進める。後ろで泣き出す声や励ます声などが聞こえたが、それよりも今はアイツが最後に居た場所に行きたかった。
塔を登り、景色を一瞥してから近くの樽を杖を振って椅子に変える。座り心地の良い其れに座り、持ってきた書物に視線を落とす。頬を撫でる風に、季節が既に一回りしたのだと実感した。
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