君との約束
街を歩いていたときだ。偶然総悟くんを見掛けたので、声を掛けることにした。

「沖田さん。」
「あ、わわわユキさんっ!?」
「え、隊長?」
「本当だ、漸く見つけたぜ。」
「お久しぶりです。」
「おおおおおお久しぶりですっ!」
「…なんか様子変じゃね?」
「私、沖田さんにお話があって…」
「あー、告白じゃねーの?沖田隊長、性格はアレでも顔が良いからモテるし。」
「えぇっ!?は、はいっ!」
「そうか?なんか立場逆じゃね?」
「この間は御馳走様でした。近いうち、呑みに行きませんか?次のお休みにでも。何かご予定ありますか?」
「なっないです!暇です!!」
「これって…」
「デートじゃね?」
「良かった。じゃあ、お休みの前日にでも行きましょう。」
「ぜっ是非!!」
「「マ、マジでかぁぁぁぁっっ!!」」

ん?

「じゃ、じゃあ予定決まったらまたお店寄りやす。」
「わざわざスミマセン。」
「い、いえ!どうせ巡回のコースなんで…!」
「有り難う御座います。あ、お仕事のお邪魔してすみませんでした。頑張って下さいね。」
「う、あ、ありがとうございやす。あ、あのっ、ユキさんも頑張って下さいっ!!」
「はい、じゃあまた。」

私は少しだけ小走りに店へと戻った。そのためこの後、後ろで何があったのかは全く知らない。


「「…」」
「…てめぇら、聞いてたな?」
「「ヒィィィイ!!!すっ、すいまっせんっっっ!!」」
「……れだ…」
「「え?」」
「服のセンスが良い奴は誰だって聞いてるんでィ。」
「「えぇ?」」
「呑み屋なんて何着てけばいいんでさァ。やべーよコレ。ガキだって思われたら…」
「「…」」
「テメェ等ァァァア!!!今から作戦会議でィ!ついてきやがれぇぇぇええ!!」
「「は、はいィィィィっっ!!!」」


────

総悟くんは家まで迎えに来てくれるらしい。通り道って言っていたから御言葉に甘えることに。この辺りは街灯も少なくて、夜道は怖いから有り難い。
そろそろ時間かな、と外に出ると丁度総悟くんが来ていた。

「着いていたのなら呼び出して貰って良かったのに。スミマセン、寒くありませんでしたか?」
「だ、大丈夫でさァ。今着いたばかりなんで。」

行きやしょうかと言った総悟くんの鼻の頭は少し赤くなっていて、随分待たせてしまったらしい。それにしても、今日の総悟くんは雰囲気が違うなぁ。着物の色がシックというか。

「、どうかしましたかィ?」
「いえ。沖田さんその着物似合いますね。何時もの感じも素敵ですけど、今日は一段と大人っぽいというか。」

色気パナイね。

「(ぃよっしゃぁぁぁあああっっ!!!)」

静かにガッツポーズをしているみたいなので、お気に入りだったらしい。うん、似合ってるよ。そして反応が可愛い。

「ユキさんもその、えと、素敵で…」
「あ、ここです。着きました。」
「あ、そうですかィ…。」

ん?

以前銀さんと一緒に来た創作料理のお店。
カウンターに座って、大将に挨拶。なんか久しぶりだな。

「大将のお薦めでもいいですか?」
「はい、お任せしやす。」
「何呑みますか?えーと、取り敢えずビールから挑戦していきます?」
「へい。」

お通しを出してくれた大将に注文して、総悟くんを見る。総悟くんは店内をキョロキョロとして、ハッとしたように身を縮こまった。

「す、すいやせん。あんまり、洒落た店には縁が無いもんで。」
「そうなんですか?」
「ええまぁ。田舎もんの芋侍なもんで。」
「へえ…。」
「そんなんだから、女性にはトコトン縁が無くて。実は今日のこの服も、真選組総出で選んでくれて…」

そ、そんな大層なものだったのか。ていうか、私で申し訳ないなコレ。総悟くんめっちゃはにかんでるよ。可愛い。乾杯をして、お酒で喉を潤す。

「沖田さんは、真選組が大好きなんですね。」
「そ、そんな…、奴らはお節介な兄貴とか父親とか、悪友とかそんなんで、だから、そんな…」
「ふふっ。」
「あ、う…」

かぁぁぁぁっっと顔を赤くする総悟くん。
かーわーいーいー。
そんな調子で総悟くんの可愛さに悶えつつ、酒と食を進めた。


────

 真選組屯所ー…

「おっ、ザキさんどうでした!?」
「やっぱドSコートしてました?」
「ん?どうしたんだよ。」
「…た…」
「はぁ?」
「騙されてたよあの女の子ォォォオオ!!」
「どういうこった?」
「なんか沖田さん、顔真っ赤にしてオロオロしてたっていうか…!!」
「はあ?なに言ってんだ?出掛けるときのあの人を見ただろ?」

『今日見聞きしたことは忘れな。じゃないと…』

「ヒィィィイッ!」
「お、俺忘れた。今すぐ忘れた。」
「俺も。」
「ええ!?俺天井裏に隠れてまで見てきたんだぞ!?何全部人に擦り付けようとしてんだよっ!」
「さーて、明日も仕事だし風呂入って寝るかー。」
「おー賛成。」

いやー今日も疲れたなー、なんて言葉を交わしながら部屋を出て行く一番隊隊士ども。ちょっとォォォオ!?俺の苦労は!?

「…俺も風呂入って寝よ…。」

溜め息を一つ吐いた。



壱衣様リクエストありがとうございました!
総悟くんが良い思い、をしたかどうかは微妙でしたが、取り敢えずユキちゃんから誘ってみました。意外と隊士が出張ってしまいましたが、如何でしたでしょうか?
ありがとうございました!
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