特等席
園内にある完全予約制のレストラン。直前の予約だった為にとっつぁんに頼んでとって貰った。このレストランの窓際は、パレードを見る穴場中の穴場なのだ。
ワイングラスを傾け乾杯する。室内の明かりは極限に落とされ、外の明かりが生かされている。二階から全体を見下ろす事が出来るパレードをぼんやりと眺めながらワインを口に含んだ。
「ふぅ。」
「疲れたか?」
「少しだけ…。久しぶり過ぎてはしゃいじゃいました。」
「確かにな。」
まあ楽しめたんならいいが。
普段落ち着いているコイツが、今日は子供みたいに目をキラキラさせていた。途中ペース配分が悪かったのかダウンしてしまったけれど、それもまた新しい一面だ。
「此処凄いですね。…綺麗。」
「前に来た時に調べた。…あ、仕事絡みだぞ。」
「あ…はあ。」
コイツは結構ヤキモチ焼きだからな。ちゃんと言っとかねえと。
「ウチの密偵からの情報だからな、間違いないぜ。」
「へぇー。」
納得したのか数度頷いてから再び窓の外に視線を移した。運ばれてきた料理に箸をつけながら俺も視線を移す。
「…」
「…」
暫くの間お互い無言でパレードのイルミネーションを眺めていた。
「有り難う御座いました。」
静かな空間にポツリと落とされた言葉に息が一瞬詰まる。チラリと様子を窺うがコイツは相変わらず外を眺めたままで。
緩んだ頬を自覚しつつ、俺も視線を戻した。
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