「お?総悟、そんなストラップつけてたか?」
「へっ!?あーいや、貰い物なんでさァ。」

ユキさんから貰ったパワーストーンのアラゴナイトと水晶で出来たストラップ。携帯を目の高さまで持ち上げると光に反射してキラキラ光る。
俺の髪の色と同じだと笑っていたユキさん。別名なごみ石の効果か、俺はこれを見る度に口元が緩むのを自覚している。いや、緩む本当の理由はユキさんを思い出すからですけどねィ。
ストラップと一緒に入っていたマドレーヌはめちゃくちゃうまかった。取っておきたかったけれど、折角作ってくれたものを腐らせるなんて俺には出来やせんでした。
ついこの間の事を思い出していると、近藤さんが笑った。

「なんだ、随分大事にしてんだな!もしかしてこれか?」

ニヤリと笑いながら小指を出す近藤さん。彼女、ではないけど女には違いねぇよな。いや行く行くはそういう関係になりてぇけど。

「あー…」
「隠すな隠すな!そうかお前にもそういう女子が出来たか!!俺とお妙さんのような関係か!」

いや、近藤さんと姐御みたいな関係には絶対ならねぇし、なりたくねぇ。

「いいよなぁ恋は!世界が薔薇色に見えるだろう!」
「はあ。」

薔薇色かは分からねえけど確かに世界が鮮やかにはなった気がする。
何気なかった青空にふと感動を覚え、暗い夜にも空には輝く星があることを知った。季節の変化も煩わしいだけだったのに、店先や公園の片隅で見掛ける花に物珍しさを感じて。

「お前には幼い時から不便させてきたからな。好い人が出来たようで俺も嬉しいぞ!」
「不便だなんて、そんなこと思ったことありやせん。土方は死ねばいいですけどねィ。俺はアンタに好きでついてきたんでさァ。」
「はっはっはっ、そうだな!そうだったな!すまん、なんだか総悟がいつの間にか大人になったみてえで嬉しくてなあ。」
「近藤さん…」
「なんだか無性にお妙さんに会いたくなってきた。今からちょっと行ってくる!」

いつものようにストーカーしに行った近藤さんを止めることもせず見送る。どうせ困るのは土方だという事もあるけれど今なら少し、近藤さんの気持ちが分かるような気がしたから。

「なんだか俺も会いたくなってきやした。」

携帯をぎゅっと握り締めて甘味処に向かう。たどり着いた甘味処にはせっせと働くユキさん。彼女の頭にはプレゼントした簪が輝いていて。そんな些細なことで色付く景色に、自嘲して目を細めた。




可愛い総悟くん?微妙な気がしますね、スミマセン。