優しさをあなたに

 棗Side

水玉の発案でドッジボールをした後、ユキに手を引かれ、森に向かって歩いていく。方向的には水飲み場に向かっているようだが。
理由を求めて話し掛けるも、返ってくるのは待てという言葉とスコーン。なんでスコーン?喉乾いたって言ってんじゃねーか。
イラついてもう一度聞こうとしたとき、ユキは立ち止まり、木陰に身を潜める。視線の意味を汲み取って前方を見ると、"俺"とペルソナがいた。

思わず、息を止める。

訳が分からず、黙って成り行きを見守る。暫くするとペルソナは"俺"を引き連れて去っていった。

「なんで…」

なんで"俺"がもう一人いたんだ。なんで"俺"がペルソナに付いて行ったんだ。なんで、助けてくれたんだ。

俺があのまま水を飲みに行けば、ペルソナに付いて行ったのは俺のはずだ。彼奴に付いて行って、何をするのか分かっているのだろうか。俺が、何をやってきたか、知っているのだろうか。

色々な感情が混ざって、混乱してユキを見る。その顔から目が離すことが出来ない。ユキはあまりにも…


泣きそうだ―…


思わず手を出そうとするが、先に頭を撫でられて視線が外れる。そのまま、ユキは去っていってしまった。



たぶん、ユキは全部知っているんだ。ペルソナのことも、任務のことも。
"俺"はユキが出した影分身が変化でもしたんだろう。忍者の知識は乏しく、想像しか出来ない自分に苛立ちが募る。
ユキはこれからもおそらく俺を助けてくれるんだろう。…それを俺が拒んでも。

俺が出来ることは些細だけど。お前という存在を拒んだりなんかしないから。だからお前はいつものように笑ってろ。
強く手を握り、ユキを追って歩き出す。
追い付いたらまず、頭を撫で返してやる。