拍手4

◎棗ちゃんと私


「棗ちゃんて体力無さそうだよねー。」

この一言から追い掛けっこ改め特訓が行われるようになった。

−−−−

コイツの体力は底抜けなのだろうか。息が乱れ始めた俺を一瞥しながら、前を走るコイツは時々術を繰り出しながら余裕で走っていくのだ。

「…ちっ、」

手から炎を出すが途端に水をかけられて消火される。

「また棗ちゃんは!!なんでもアリスに頼るんじゃないの!」

コイツのお陰で前よりも動くようになった身体。それでもキツイものはキツイ。…口には出さないが。手足に付けられた錘は身体の自由を奪う。手を挙げるのも億劫だ。

「もう少しだよ。頑張れー。」

まだ日の高い昼間、北の森に大規模に"幻術"をかけて行われるこの訓練。コイツの能力は本当に底が見えない。こんなんじゃ、コイツを守るなんて夢のまた夢だ。

「はい、今日はおしまいー。」
「はっ、はっ…」
「やっぱり肺が損傷してるのかな?まだ苦しそうだよねー。」

木陰に引っ張られてから、仰向けに寝ころがされ、胸に手を当てられる。"チャクラ"を流し込んで治療をしているらしい。少しずつ、息が整ってくる。ふと顔をあげると意外と近くに顔があることに気が付いた。なんか凄く眠そうだ。目が殆ど閉じている。

ほんの少し起き上がって、顔を近付けてみる。

下から覗きこんで様子を伺う。完全に目が閉じて、口が半開きだ。こうして見るとガキ、なんだけどな…。

起こさないように、そっと、近付く。目を閉じる。息がかかって、唇が触れー…












なかった。
はっ!と意識を覚醒させた際に顔を思い切りあげやがった。と同時に顎が鼻に直撃。

「…いった!は?え?ゴメン?」
「……」

鼻を押さえて無言で睨むが、珍しく混乱しているコイツに少しだけ機嫌を良くする。起き上がって、木にもたれ掛かる。
相変わらず困った顔をしているコイツの肩を掴んで、引き寄せる。自然と頬を髪が撫で、シャンプーの香りが鼻をくすぐった。

力を抜いたのを確認して肩から手を離し、そっと手を握った。




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(重くない?)
(…重い)
(えー、そこはウソでも"全然"って言っとくんだよー)
(重い、けど…)
(?)
(お前なら支えてやる)




棗を少しでも強くしておこう計画。
木から飛び降りたりしてるから身体能力は高いだろうけど、体力なさそう。