「ところで、名取さんと行った社ってなんの話だ?」
効果音として表すならギクッだろう。肩を揺らした吉田をじと目でみる夏目。
「…先生。」
「わ、私は知らんぞ!中級達が噂していた事なんか…あ。」
「斑ー。」
「す、すまん。」
「また無茶しようとしたんじゃないだろうな。」
「無茶なんてしてないよ。」
「よく言う。」
「うわっ!ヒイラギ!?」
突然現れたらしい妖に驚く夏目。…ぼんやりとしか見えないが確かにそこに居るんだろう。タキも凄い目を細めている。吉田は何事もないようにニコニコしていて、ポン太は片目を開いた後溜め息を吐いた。
「あの後倒れたではないか。」
「倒れた!?」
「大袈裟だなぁ。ただの体力切れだよ。」
倒れるほど体力を使うなんて、一体どんな無茶をしたんだろうか。俺たちにはヒイラギと呼ばれた妖の声は聞こえないので、夏目の言葉から推測するしか出来ないが…。以前の昼休みの件から思ってはいたが、吉田は俺たち以上に不思議な力を持っているみたいだ。そしてそれを夏目は気にしている。
「名取に様子を見てこいと言われてな。」
「名取さんが?」
「あぁ、名取も責任を感じていた。無理矢理にでも止めるべきだったのでは、と。」
「ふふ、寧ろ私がお礼を言わないと。次のお仕事大丈夫でしたか?」
「あぁ、問題無い。」
「なら良かった。」
「帰るのか?」
「あぁ。」
「またな、ヒイラギ。」
「ありがとう、名取さんにもよろしくね。」
「…あぁ。」
どうやら妖は帰ったらしい。ずっと黙っていたポン太がもう一度溜め息を吐いた。
「斑」
「ん?」
「夏目くん」
「なんだ?」
「心配してくれてありがとう。」
「「…」」
顔を見合わせる夏目とポン太。
「あぁ、まぁ、あんまり無茶するなよ。」
「私は初めから心配などしておらんわ。」
素直じゃない物言いにタキと二人苦笑いをして。吉田にすり寄ったキョウがフンと鼻息を吐いた。