慈しむ

「と、いうわけで一緒に住む事になったキョウです。」
「どういうわけ!?」

吉田の家に招かれた俺、ニャンコ先生、タキ、そして田沼。田沼は前に自己紹介した程度の仲たけど、たまたま一緒にいたので誘われたのだ。妙に機嫌のいい彼女に疑問を抱きながらも、訪れた吉田の家。初めて来た時も思ったけど大きな家だ。こんな立派な家に一人で住んでいるなんて、寂しくないのだろうか。
お茶とお菓子を出されて一息吐いた俺たちの目の前を横切った狼を、彼女はニコニコしながらそう紹介した。

「なんだコイツは。犬か。」
「ううん、狼なの。」
「狼!?」

狼なんて初めて見た。毛色は灰…というよりは銀色で、目は綺麗な蒼。目つきは鋭く威厳があるが、いかんせん小さい。チワワサイズ。まだ子供なんだろうか。

「可愛い〜!小さ〜い!」
「ふふ、触っても大丈夫だよ。但し、抱き上げは禁止ね?まだ怪我が完治してないんだ。」
「うぅ、分かった。」
「へぇ、俺も触っていいか?狼なんて初めてだ。夏目は?見たことある?」
「いや、俺も初めてだ。」

三人で近寄りそっと撫でる。うわ、フワフワしてる。

「ユキ。」
「なぁに斑?」
「アレは本当にただの狼か?」

ピタリ、と動きを止めた俺達。それを気にもしないでニコニコと吉田は微笑んでいる。

「うーん、どうかな。」
「…」
「昔の私の相棒なの。」

相棒?それはとういう意味だろう。ペット…とは違うよな。

「名取さんと例の社に行った時に見つけたの。」
「では、あの噂の妖はコイツだったというわけか。」
「うん。随分酷い怪我だったんだけどね。」

キョウは重そうに腰を上げてゆっくりと吉田に近づいた。チョンと鼻でつつくと、吉田は嬉しそうに微笑んで頭を撫でる。

「助けれて、良かったぁ…。」

本当に愛おしそうに目を細める吉田に息が詰まった。同い年の女の子が、こんな顔をするなんて。
呆けていると隣にいた田沼がコソッと耳打ちしてきた。

「お、同い年だよな?」
「ぶはっ!」
「なんだよ?」
「いや、俺もそう思ってたからさ。」
「はは、だよな?」

吉田は、ただ先生の旧友というだけでは無いのかもしれない。俺がそこまで踏み込んで良いのかも分からないけれど、もう少しだけ知りたいって思ったんだ。