「ああっ!!!」
後ろ姿が闇に紛れて見えなくなった頃、鳳が突然叫び、がらにもなく肩が跳ねた。
「…どうした?」
「名前!聞き忘れた!!」
「はあ?」
うあぁぁぁっ!と頭を抱える鳳に冷めた視線を送る。自然と出てくるのは溜め息で、一つ吐いて出口へと歩き出した。
「あっ、待ってよ日吉!」
「はー、…別にまたすぐ会えるだろ。」
「え?」
「さっきの奴。見始めたのは最近だけど、この時間はいつも走ってるみたいだし…。」
「そ、そうだよね!」
バタバタと荷物を抱えながら追いついてきた鳳は、途端に機嫌がなおったようでニコニコしている。
「何処の学校なのかなぁ。ウチの中学じゃないみたいだし…。」
「意外と、年上だったりしてな。」
「まさか!だってそんなに身長無かったじゃ…いやでも向日さんも同じくらいだった気がするな…。」
ブツブツと言い始めた鳳にまた一つ溜め息を吐いた。鳳に手伝って貰いながらテニス部を纏める日々。思っていた以上にやることが一杯で、改めて跡部さんの凄さを身に沁みて感じている。派手な人だけれど、やっぱり凄い人なんだ。高校でも既に部長だけでなく生徒会長もやっているらしいし。
「楽しみだなー。」
「…あぁ、そうだな。」
来年、またあの人達と戦うために、今出来ることを精一杯やろう。下剋上だ。
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