「さーて、暫く暇なんだよな。せっかく女が居る んだし、楽しむのも有りだよなぁ。口止めにもなるし。」
「なっ…!」
「テメェ…!!」

誘拐だけじゃ飽き足らず、強姦までしようというのか。腐ってやがる。

「まぁまぁ、そういきり立つなよ。お前等も綺麗 な顔してるし、後で構ってやるからよ。まあ、まずはこの女からだけどな。」

次々に部屋に入ってくる男達。全部で5人か。いや、もう2、3人はいると見た方がいいだろう。それにしても吐き気がするぜ。コイツ等の吉田を見る目も、気持ち悪い笑いかたも。
吉田を守るように座っていた忍足も胸ぐらを掴まれて隅に投げられた。立ち上がったとしてもキツク縛られたこの手足じゃ何も出来ない。
くそっ。どうしたらいい。
肝心なときに働いてくれない頭を恨みつつ、焦りだけが次々と生まれてくる。

「なぁ、お前跡部なんだってな。」
「!」

いつの間にか目の前に来ていた男に身を固くする。なんだ?跡部?
カランと鉄パイプが床に擦れて音をたてた。

「俺の親父の会社さー、お前んとこに潰されたんだよな。」
「…」
「そっからは転落人生。家を追い出され、借金取りから逃げ回る日々。」
「…」
「全部、全部」

あぁ、昔もこんな誘拐犯がいたな。今でこそ大分減ったが昔は学校の奴らも似たような視線を向けてきたな。妬み、恨み諸々の感情の含んだ瞳。どうでもいいことがぼんやりと頭に浮かんでは消えていく。ああ、これが走馬灯か、なんて冷静に考えながらふと忍足を見ると、眉を下げて柄にもなくデケェ声を出していた。
はっ、なんて顔してやがんだ。いつもの余裕はどうした。

「お前のせいだ…!!」

大きく振りかぶった鉄パイプを見上げながら、ぼんやりと思った。