カラーン

鉄パイプをクナイで勢いよく弾き飛ばす。あーあ、さっきまでの演技とか、全部パーだ。気持ち悪い手つきで身体を触ってきた鼻息の荒い男にもせっかく我慢したのに。久しぶりに、私のかんに障った。
縄抜けした手足を軽く振りながら立ち上がる。

「ひ、ひぃぃいぃいっっ!」
「はー、折角我慢してたのに。」
「吉田さん、?」

忍足くんの震えた声にも、目の前で震え上がっている男達にも目もくれず、跡部くんの目の前にいる男を見据える。

「人のせいにしてんじゃねーよ。」

あー、多分殺気出てんだろうな。微量だろうけど。本気で出したら一般人なんて失神させれるし。

「テメェんとこの会社が潰れたのも、その後荒んだ生活をしてたのも、全部全部自分の努力が足りなかったからだ。」

尻餅をつき、ジリジリと後退していく様子は滑稽だ。さっきまでの勢いはどうした?跡部くんも目を見開いてコッチを見ている。レアだわー。写メりたい。

「道行く人に後ろ指を指され、親の仇だって陰口を叩かれ、それでも努力をし続けた奴を私は知っている。」

産まれてからまもなく、里を襲った化け物を身体に封印されたナルト。4代目の思惑とは逆に、彼は里にとって疎まれる存在になってしまった。

「皆に認められたくて、大好きな人達に認められたくて頑張り続けている奴を私は知っている。」

最初は火影様だけだったのが、イルカ先生、カカシ先生、七班の皆、同期の忍、先生。里の皆を認めさせてやる、火影になると言って口だけじゃなく、頑張っていた。

「テメェの力不足を、他人のせいにしてんじゃねぇ!!自分ばっかり見てるから他人の頑張りを見つけることも、認めることも出来ないんだろーが!自分ばっかり被害者面してんじゃねぇよ!!」

壁に追い詰められた男を見下しながら腰を下ろし、視線の高さを合わせる。チャクラを溜めた右手で顔の真横を軽く殴った。耳元に唇を寄せて囁く。

「二度とそんな口叩いてみろ。死んだほうがマシって思うくらいに辛いこと、体験させてあげる。」

最後にふっと息を吹きかけると、男は泡を吹いて気絶した。残りの男は腰を抜かしたように放心していた。

「ば、化け物っ…」

そう呟いた男に視線を向ける。さっきまでニヤニヤしてたのに今や面影がない。その目は恐怖に満ちていて、なんだか笑えた。

「そう言って蔑んで、罵声を浴びせていた奴らの方が、私には化け物に見えたけどね。」

ぽつりと呟いて冷めた目で男を見下した。