パチン

授業が終わり、賑わう教室内で鳴らされた指パッチン。ブハッと小さく吹き出してから人目につかない場所まで移動して変化をしてからフードを被る。

「お呼びですか景吾様。」

シュタッと何処からともなく現れてみる。すると景吾くんに注目していたクラスのほぼ全員がオォとかキャアッとかの声を出した。フッフッフッ、あれ言っちゃう?あくまで執事ですから…あれ、俺悪魔でも執事じゃねーや。

「あ、あぁ。今から部活に行く。お前も顔合わせくらいしておけ。」
「畏まりました。」
「あ、あのっ!」
「はい?」

聞き慣れた可愛らしい声に笑顔で振り向く。景吾くんがずっと怪訝な顔してるんだけど。

「吉田くん、だよね?私達跡部様と同じクラスなの!分からない事があったら何でも聞いてねっ?」
「ありがとうございます。可愛らしい上にお優しいなんて、景吾様も素敵な御学友をお持ちですね。」
「「「キャーッッ!!」」」
「ちっ、行くぞ。」
「お鞄お持ちします。」
「要らねえ。」

ありゃりゃ?なんだか不機嫌なんだけど。取り敢えず景吾くんの後に続いてテニスコートへと歩く。

「何怒ってんの?」
「あーん?別に怒ってねえ。」
「怒ってんじゃん。何、そんなに俺の紳士キャラは不満?」
「別に怒ってねえっつってんだろ。」

ぷいっと効果音でも付きそうな感じで拗ね始めた景吾くんに首を傾げる。するといつの間にか(気付いていたけど)後をつけてきていた忍足が笑った。

「ははっ。あれはなぁ、ヤキモチや。跡部、自分にヤキモチ妬いてんねん。」
「俺に?」
「せやで。突然現れた奴にファン盗られたもんで拗ねてんねん。」
「はっはーん。」

そういうことか。やっぱりまだまだお子様なんだね。声だけ元に戻して可愛らしくしてみる。

「でもぉ、やっぱり跡部様ってが一番よねぇ、素敵ぃ!」

すると景吾くんは振り返って満更でもない顔をして不敵に笑った。

「ふん、当然だ。」

それで満足したのか彼はそのまま靴を履き替えて外へと出て行ってしまった。

「せやろ。」
「…うん。」

大丈夫だろうか、簡単に騙されそうなんだけど。素直すぎる彼に不安が募った。