今は2学期の中間考査真っ最中だ。
試験も明日で終わり。漸く部活をすることが出来る。家でもトレーニングは欠かしていないものの、やはり部活でこそ出来ることがあるのだ。
因みに今は歴史の試験中だ。カチカチと一定のテンポで時計が時を刻み、カリカリと解答用紙に書き込む音だけが教室内に響き渡る。
「…」
ふぅ、と息を吐いてペンを置く。あれから三人について大した成果もあらず、数週間が経った。俺様ともあろう者が未だに尻尾を掴めないでいるのだ。
いや、奴らの詳しいデータは揃っている。ただそのデータではあのメンバーに勝つことが、どうしても不可能なのだ。Hチームのメス共があの時熱とかで意識が朦朧としていたならともかく、だ。
つまり、あの三人のうちの誰かが実力を隠しているということになるわけだが。それをやる意味も、利点も分からない。さらに、その痕跡さえも見つけることが出来ないのだ。
面白いものを見つけたと思っていたのに、それは空振りだったのか。俺のインサイトが間違っていたというのか。
ひとつ溜め息をついて前を見据える。試験だからといって席替えする事なく、いつもの席に座っているため、前の席は相変わらず吉田だ。
何が面白いのか、ずーっと右手でペンを回し、窓の外をぼんやりと眺めていた。コイツ、試験だって分かってんのか?俺が全て書き終えた時、既にコイツは問題を解くのを止めていた。いや、もしかしたら今も考えている最中なのかもしれないが。
「はい、あと10分。」
試験の監視に来ていた先生が告げる。俺は視線を解答用紙に移して、最終チェックを行う。チェックが終わった頃、先生が終了の合図をして、一人一人の解答用紙を集め始める。
その時ふと窓に写る吉田が目に入った。どうやら視線は俺様に向いているようで、顔を赤らめる事なくまじまじと眺めてくる。こんなにじっくりと人に見られるのは初めてかもしれない。いや、実際はもっと至近距離で見られたこともあるのだが。これほど距離があるのに何をこんなに緊張しているんだ俺は。吉田と視線を合わせないように、けれど様子を窺うように窓に顔を向けている様は相当間抜けだと思う。
先生が解答用紙を回収にやってきたことで視線が外れ、無意識に息を吐いた。
やっぱり、コイツの視線に恋だの憧れだのそんな甘ったるいものは含まれていなかった。表で捕まえる事が出来ないなら、少し方法を変えてみるか。
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