パチンと華麗に指を鳴らして休憩を告げた跡部に、スポーツドリンクを飲みながら近付く。

「跡部。」
「あーん?なんだ忍足。」
「応援席見たか?えーと、吉田さんやっけ?来とるで。」
「あぁ、知ってるぜ。」
「なんや気付いとったんかいな。」
「クラスで散々ファンクラブのメス猫共と騒いでいたからな。」
「ほぉ、で?誰のファンやて?」
「さあな。ま、俺様に決まってんだろ。」
「どっからくるんやその自信は…。」

軽く溜め息をついて肩を落とす。せやけど、コイツなら自意識過剰とは言い切れないから問題だ。
神山さんと井崎さんはある意味有名だったから俺でも知ってる。中学の頃を思い返しても、特に違和感はなかった。やっぱり注目するならあの吉田さん、なんやろ。しかしああやって歓声をあげている姿はどう見ても…

「普通の子なんやけどなぁ。」
「そうだな。」
「そうだなって、もう諦めたんかいな。」
「そうじゃねーよ。ただ、攻め方を変えてみるだけだ。」
「攻め方?」
「あぁ。手っ取り早く付き合ってみようかと考えてる。」
「付き合うって…、それだけの為にかいな。」

ぼんやりとコートを眺めていた跡部が急に視線を合わせてくる。

「俺様が興味を持った。それ以上何が要る。」
「あんなぁ、もっとこう、ときめきとかロマンスとかやなぁ。」
「気持ち悪ぃぞ忍足。」

その蔑んだ、ゴミを見るような目止めろや!俺はこう、一般論をやなぁ。

「大体、昼間の校内でムードもクソもねえだろう。」
「尚更あかんで!告白に雰囲気は必須アイテムやないか!」
「あーん?あいつが猫を被らざるを得ない場所じゃねーと逃げられるだろーが。」
「それは…まぁそうかもしれへんけど…。」
「別に興味が無くなったら終わり。それだけの事だろう。」

言い方はアレやけど、恋愛っちゅうんはそういうもんかもしれん。興味、好意が他の異性に移ったら別れる。結構シビアなもんや。

「侑士ーっ。何の話してんだよ!」
「あんな、岳人。岳人はこないな男になったらあかんで?」
「はぁ?何言ってんの?」
「ええねん。自分はまだ分からんで。」

ポンと肩に手を置くと、さっと距離をとられた。

「なんか侑士キモイ。」
「自分もかいっ。あんなぁ…」
「おい、そろそろ休憩も終わりだ。行くぞ。」

オンとオフがはっきりした奴や。既に跡部は部長の顔になっとる。やっぱり一年生ながらに部長を勤めるというのは、想像以上に重圧が掛かるんやろうな。後ろ姿を見ながらぼんやりと思った。




忍足はラブロマンスが好きなだけあって、恋に恋してるような男だと思う。がっくんカワユイ。