昔(といってもついこの間だが)の癖、というか習性ですっかり夜行性な私。夜になると身体能力が衰えないように錘を付けて街を走る。フードで顔を隠し、さながらボクシングの減量中の選手だ。…汗は全くかかないけれど。
家は高級なマンション。下の階に響くといけないのであまり派手な修行ができないのだ。
ストリートテニス場なんてこの世界に来て初めて見た。流石はテニプリの世界。
まぁ、鳴門の世界には演習場なんて物があったけれど。当たり前だけど、クナイとか手裏剣用の的なんてこの世界には存在しないわけで。
パコーン パコーン
音に惹かれて、コートの中に入る。フェンスにもたれかかり、遠目にテニスをしている二人を眺める。普通に打ち合っているだけで、技なんて使ってないけれど不思議と飽きる事がなかった。
暫くすると音が止んで、静けさが訪れた。私もそろそろ行くかと背中を壁から離すと、打ち合っていた二人がコッチに歩いて来ているのが見えた。特に逃げる必要も無いので、そのままの姿勢で待つことにした。
「あの、君もテニスするの?」
「…」
「おい、無視することは無いだろ。」
「ちょっと日吉!ご、ごめんね。俺達たまにこうして夜に打ってるんだけど、君を何回か見掛けたことがあって。だから、君もテニスするのかなーって思ってさ。」
「…いや。ラケットさえ持ったことないよ。」
「そうなんだ。良かったら今度一緒にやらない?」
背の高い銀髪が言った。てかこの銀髪見たことあるぞ。となりのキノコも。…マジでか。
「…鳳、なんかお前ナンパみたいだぞ。」
「なっ!何言ってんだよ、彼にも失礼だよ!それに日吉だって気になるって言ってたじゃん。」
彼?
「なっ!俺は別に…」
「まぁいいや。で、どうかな?」
男だと思ってる?そりゃ顔は殆ど隠れてるけど、背だってそんなにないのに。立ち振る舞い?そんなにガサツに見えた?…ちょっと泣けてきた。
「…いや、遠慮しておくよ。」
「そっか…。」
鳳?くんはあからさまにしゅん…とする。耳があったらペタンと垂れてるねコレは。え、私が悪いの?日吉?くんの視線が痛いよ。そんなに睨まないでっ。
「あー、たまに見に来てもいいかな?」
「う、うん!勿論!!」
「はあ、良かったな鳳。」
「うんっ!」
尻尾ブンブン振ってるんだろうな。まぁ、彼らに学校で会うとしても来年以降だろうし。特に問題ないね。
「じゃあ、ランニングの途中だから。」
「あ、引き止めてごめんね?またね!」
「…またな。」
ブンブンと手を振っている鳳?くんと軽く手を挙げた日吉?くんに軽く振り返して、再び走り出した。
うーん、テニスをする気は全くないけど、面白くなるならメインキャラ達に関わるのも有りかもなぁ。面倒臭いのはゴメンだけど。
→